「80:20の法則」や「2:6:2の法則」とかって結局、どう使う?
(写真は車窓に映った冬の富士山:2022年2月撮影)
その法則を提唱した人の名前を知らなくても、一度は聞いたことがある「80:20の法則」
「2:6:2の法則」は「80:20」の亜種とも呼ばれていますが、こちらもよく知られた割合です。
聞いたことはあるけれど、「やっぱりそうなんだ」とか「ウチの会社もそうなっている」というような「答え合わせ」以外に、ビジネスの現場にどのように使えるのでしょうか?
この法則よ〜く知っているという人は、下の目次から最終の「2:7:1から学ぶ法則の用法」まで飛ばして読んでくださいね。
「80:20の法則」
その人の名前は、ヴィルフレド・パレート。今から100年前に他界している19世紀のイタリアの経済学者です。
パレートは所得分布の割合が時代を超えても変化せず「80:20」という割合で安定しているとしました。
そもそもの調査が19世紀における90年間の分析であったこともあり、所得分布における「パレートの法則」は局所的にのみ有効であって、普遍的ではないとされているようです。
しかし、所得分布や経済学の枠を超えて「パレートの法則」は「80:20の法則」として拡散します。
「売上の80%は、20%の顧客によってもたらされている」
「売上の80%は、20%の商品によってもたらされている」
「売上の80%は、20%の社員によってもたらされている」
よく知られているのは、上ような売上の分布についての法則です。
「結果の80%は20%の原因によってもたらされる」という構造でバリエーションが沢山ありますね。
「仕事の成果80%は、労働時間の20%から」とか「住民税の8割は、2割の富裕層から」など、根拠があるのかないのかはっきりしていないけれど、なるほどそうなのかと納得するようなものが多いわけです。
どれも「経験知」として納得いくために、科学的な根拠のあるなしにかかわらず広まってきたのでしょう。
みなさんはどのように「80:20の原則」をビジネスや生活の場で用いているでしょう?
私にとっては少なくとも、原因と結果の因果関係において、様々な原因が結果に対して均等に影響を及ぼしている訳ではないことに注意を向けてくれます。
次にもう一つの法則について触れてみましょう。
「2:6:2の法則」
これは「80:20」の亜種と呼ばれることもあるようですが、れっきとした科学的研究にもとづいた法則です。
その名も「働き蟻の法則」
「よく働く2割のアリが8割の食料を集めてくる」
つまり、パレートの法則が「働き蟻」のコロニーに実証されています。
そして、その内容がまた興味深いのです。
よく働いているアリと、普通に働いている(時々サボっている)アリと、ずっとサボっているアリの割合は、2:6:2になる。
よく働いているアリ2割を間引くと、残りの8割の中の2割がよく働く蟻になり、全体としてはまた2:6:2の分担になる。
よく働いているアリだけを集めても、一部がサボり始め、やはり2:6:2に分かれる。
サボっているアリだけを集めると、一部が働きだし、やはり2:6:2に分かれる。
社会生物学者、長谷川英祐博士が詳らかにしたもので、この「働き蟻」についての研究は現在も続いているようです。
これは、蟻の社会(コロニー)の研究から導き出された法則です。
でも、少しでも共同体や組織で活動をしたことのある人なら、ヒトの社会(共同体や組織)にも同じような事が言えると感じるはず。
人については科学的な研究がなされたわけではありませんから「経験知」ですよね。
稲盛和夫氏はフィロソフィの中で「自燃人、可燃人、不燃人」について言及しています。
この「自燃:可燃:不燃」の3種類の比率を、「働き蟻の法則」に重ね合わせて「2:6:2の法則」が説明されるのを聞いたことがある方もおられるでしょう。
組織の中には、あることに対して高いモチベーションをもって自ら動く人が2割、その人たちに引きずられるようにして動く人が6割、残りの2割は動かない人というものです。
また、こんな説明を聞いたこともあります。
あるアイディアに対して賛成は2割、どちらかと言えば賛成6割、2割は反対になる。
様々な状況下で、それがどんな組織でも分布は、「2:6:2の法則」になるとは思えませんが、納得感があります。
二つの法則の正しさを証明したいのではありません。
「パレートの法則」や「2:6:2の法則」を現場でどう使うの?
という本題に戻りましょう。
「2:7:1」から学ぶ法則の用法
ここでもう一つ比率です。(比率コンプレックス?笑)
ここから「パレートの法則」「2:6:2の法則」を使うヒントをもらいましょう。
でも、これって何の比率でしょう?
腸活している人は知っていますね。
2:善玉菌
7:日和見菌
1:悪玉菌
100兆個もいると言われる「腸内フローラ」の比率です。
健康な比率と言われるのが「2:7:1」。
ポイントは善玉菌が悪玉菌よりも多いこと。悪玉菌の方が善玉菌よりも多くなると、日和見菌は悪玉菌を助けてしまうそうです。
結果、下痢をしたり、食中毒を起こしてしまったりするわけです。
一方、善玉菌の方が多いと日和見菌は、善玉菌を助けるような働きをしてくれるので
それじゃ、悪玉菌を撲滅すればもっと健康になるの?
いいえ、悪玉菌も消化吸収を助けたり、免疫機能を高めたりしているそうで、いつも悪さをしているわけではないのです。
それでは、ここからどんなヒントをもらえばいいのでしょう?私はこんなヒントをもらっています。
生産的な望む成果を生み出している2割が、継続的に成果を生み出すことのできるように努めること。
2割以外の人達(合わせて8割)を生産的な2割へ移行させることを考えないこと。
望む成果を生み出していないと見られる1〜2割を、無理に排除する努力をしないこと。
望む結果を出している2割の人が、継続的に成果を生み出すために何が必要なのかを聞き取って注意を払うようにします。
多くの場合、望む成果を生み出している人々は、黙々と静かに仕事をしている事が多いので、ほったらかしにしたり、無理ばかりさせたりしないよう配慮します。
そして、その人たちが全体に良い影響を与えるように努めるのです。
一方、望む成果を生み出さない1〜2割を「悪玉」として排除することはしません。同時に必要以上の時間と労力を使わないように気をつけます。
健康な状態に保っていれば、直接的に成果を大きく上げていなくても、何らかの役割を果たすことができると考えるのです。
「パレートの法則」「2:6:2の法則」を利用して良いリーダーシップを発揮して、成果をあげ続ける健康な組織づくりをしていきましょう。
長くなりましたが、最後までお読みくださってありがとうございます。
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