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剛速球の法則 Theory Fastball ・2: Max DePree "Leadership Is an Art"

WBC - ワールド・ベースボール・クラシックが開幕して、第一ラウンドの最中だ。第一ラウンドは日本、台湾、アメリカの各地域で開催され、5か国づつの総当たり戦で、日本は東京Pool、韓国、中国、オーストラリア、チェコ共和国と対戦する。中国に 8-1, 韓国に13-4と連勝して3戦目、チェコ共和国との対戦は佐々木朗希(ささきろうき)投手の先発で11日に行われた。

新横浜の事務所にはテレビがないし、ネット中継もなかったようなので、読売新聞のサイトの一球速報で観戦していた。

初回エラーがらみで失点、四死球でランナーを出しながらも、160km/h 台(最速164km/h)の速球と落差の大きい高速スプリットで3回2/3を8奪三振の投球は見事だった。

4回2アウトをとったところで球数制限65球に達して投手交代、後をついだ宇田川選手も素晴らしい投球だった。佐々木投手に比べると球速は10km/hも遅い(というか150km/h台は十分速い)けれども、ストレートとスプリットをポンポンポンと低めストライクゾーンの際に放って三球三振だった。宇田川選手、去年から注目を集めているが、凄みのあるピッチャーだと思う。

また、後を継いで5回から9回までのロングリリーフを投げ切った左腕の宮城も、5回こそは少し緊張したか球が高めに浮いた感があって点を許したが、あとはピシャリ。スリークォーターのゆったりとしたフォームから147km/h - 150km/h の速球と、130km/h前後の変化球、そして時折見せる90km/hのスローカーブを投げ分けて小気味よいピッチングだった。

球速の差があるために、ストレートはより伸びて見え、変化球はより変化して見えるのだろう、打者が幻惑されて打ち損じと空振りの山となるのがよくわかる。

なかなか面白かったのは、チェコの先発のサトリア投手だった。120km/h台のストレートに100km/h台のチェンジアップ。なかなか効果的で、日本人強打者が翻弄されていた。あの大谷翔平も三球三振だ。

そうはいっても球速そのものも球速差も際立ってはいない。宮城投手の球速と比較するとわかるだろう。さすがに、回を追えば慣れられるので3回に3点は献上した。とはいえ、なかなかの好投だったと思う。

サトリア選手、本業は電気技師らしい。チェコでは野球はまだマイナーだから本業が先生だったり消防士や金融アナリストなど、「野球のテレビ中継」は史上初とのことだ。

結局、10-1で日本の勝利で終了したが、チェコはまぁまぁの善戦、と言えるかもしれない。

Foxbetのオッズを見ると、ドミニカ共和国が1位、アメリカ合衆国が2位、そして日本が3位だ。

チェコは17位。最下位の20位はイギリスだった。イギリスと言えばクリケット。大英帝国圏内ではクリケットは世界のスポーツなのだろうし、クリケットは野球の始祖とも言われるが、野球はイギリスではいっこうに流行らないようだ。

逆にクリケットは日本ではいっこうに広まらないようだ。私もルールはまったく知らない。2日も3日も試合が続くこともあるらしい、と聞いたことがある。


ところで佐々木投手は壮行試合のドラゴンズ戦で日本最速 165km/h を記録している。捕手はホークスの名捕手・甲斐選手だが捕球し損ねている。この日はスプリットもストレートもまだ慣れていなかったか捕球し損ないが散見されたようだ。

なにしろスプリットも150km/hをちょい切るくらいのスピードなので、宮城投手のストレートほどのスピードがある。そして宮城投手が時折投げる遅いカーブは80km/h台、佐々木投手の最速の半分近くもの遅球だ。バッターが打ちにくいボールは当然ながら捕球しにくい。改めてキャッチャーは大変なポジションだと思う。

たとえ、チェコに佐々木投手と宮城投手が加入したとしてもチェコは勝てないだろう。球を受けるキャッチャーを探してこなければならない。

というわけで、自分のチームにいる素晴らしい投手を 100%能力を発揮するには素晴らしい捕手がメンバーにいなければならない、そして経営者はそのようにメンバーをそろえなければならない。つまりは「剛速球の法則」を思い出す。

「剛速球の法則」にちなんだ言いたいことは以前の記事に全部書いてしまったように思うので、Max DePree "Leadership Is an Art" のTheory Fastballの章からちょっと引用(*1)して今日は終わりにしておこう。

These are some of my ground rules for working. If any one of us is to catch someone's fastball, there must be a mitt. The rights of work a sort of mitt. Without them, even a catcher as good as Koufax's great partner Johnny Roseboro might drop the ball. 

Max DePree "Leadership Is an Art" p.43





■注記

(*1) 引用中の "the rights of work" については、次の8つの権利が挙げられている。すなわち:

1. The Right to Be Needed
2. The Right to Be Involved
3. The Right to a Covenantal Relationship
4. The Right to Understand
5. The Right to Affect One's Own Destiny
6. The Right to Be Accountable
7. The Right to Appeal
8. The Right to Make a Commitment

リーダーには大きな度量が必要だ。それぞれ思うところがあるにはあるが、またいずれ書くこととしよう。


■2023/3/12 22:40  追記

本日のオーストラリア戦も一球速報で雑用しながらの観戦していた。先発は山本由伸、この人のストレートは155km/h前後の球速があるうえ、打者にとってはメチャメチャ打ちにくい投球なのだそうだ。2年連続で投手五冠(勝利数、勝率、奪三振、防御率、最多完封)を獲得、2年連続は日本のプロ野球では初とのこと。とくに、この2年とも200奪三振越え、防御率は1.39 に 1.68、防御率はデビュー以来6年で通算でも 1.95、というから驚異的だ。

今日も3回を投げ終わったところで37球のみ、4回は少々球数を有したがそれでも合計60球でまとめ、毎回の8奪三振に被安打1 で無失点。完璧だった。

打のほうは初回に大谷選手の看板直撃 3 ランで先制、2, 4, 5 回に点を重ねて前半で試合を決めた形で 7 - 1、見事な勝利だった。

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