地中海の風:スアド・マッシ
今年聴いているなかで、とにかくぞっこんなのが、スアド・マッシ(Souad Massi) アルジェリア出身・ベルベル人でフランスを拠点に活躍しているという女性シンガー・ソングライターだ。
ウード(*1) を使ったアンサンブルと哀愁こもったメロディが中近東・オリエントの雰囲気がたっぷりで、かすかにハスキーな深く力強い声がマッチして魅力たっぷりだ。2019年にリリースされたアルバム Oumniya がいい。
2006年のアルバム Mesk Elilもお気に入りだ。
そういえば、35年前くらいには、アルジェリア発のポップスとして「ライ」というのが一世を風靡していた。YouTubeで動画を検索してみたら、健在のようだった。哀愁の旋律と歌声、ちょっとチープな感じのシンセとパーカッション、記憶通りの音だ。今のシーンは私にはまったく不明なのだけど、どうなのだろう。盛り上がっているのだろうか。
地中海・オリエントの歌謡というと、ギリシャのライカもいいし、ポルトガルのファドもいい。トルコの音楽もなかなかいいものだ。イタリアのポップスも独特の味があるし、アラブ歌謡や・イスラエルのポップスもいい。そのへんは追い追い、紹介していこう。
ちょっと横道にそれた。スアド・マッシ、ポップス調の軽快なナンバーも聴ける17曲いりの2001年のアルバム Raouiも好きだ。
2018年のこのライブも、ギターの弾き語りに、ウードとパーカッション、シンプルな編成で、じっくりと聴きごたえがある。
この動画で彼女が弾いているのは、カナダの Godin (ゴダン) というメーカのエレクトリックアコースティックでガット弦のギターだ。木目も綺麗で美しい。世界中のミュージシャンに使われているので、気をつけているとよく見かける、かっこもいいし、モデルによってはギターシンセのピックアップも内蔵していて直接ローランドのGRにつなげるということだ。
天上の神様ジョン・マクラフリンと 4th DimensionのライブがYouTube動画であがっていた(*2)。この動画で、ジョン・マクラフリンの弾いているギターは、ゴダンのソリッド・ボディのエレクトリックで、これもメチャメチャかっこいい。
欲しいギターの一つだが、あいにく腕がついていかないので、あきらめている。
出来るはずだったこと、やりたいけどやらないと決めたこと、運よく自分の好き勝手することは出来て、たくさんの人たちに助けられて、思えば遠くに来たものだ。
■注記
(*1) ウード
古代ペルシャ発祥の弦楽器で、リュートや琵琶と祖先を同じくするとされ、ギターの先祖、ともいえる楽器だと思う。洋ナシを半分に割ったような涙粒型のボディが特徴だ。大きく湾曲したバックは寄木で作られている。弦は複弦で、独特の柔らかい音がする。サウンドホールは、リュートのような透かし彫りの模様のようなものもあれば、大きく楕円に開いているものもあり、複数のサウンドホールが開いているものも見かけ、バリエーションがいろいろあるようだ。
たとえば、アルジェリアのお隣、チュニジアの出身のDhafer Youseff (ダファー・ヨーゼフ)が気に入っていてよく聴いている。
モロッコの Driss El Maloumiは、以前に、マダガスカルのRajeryとマリのBallake Sissoko とのユニット 3MA のアルバムを紹介したことがあった。
ウードの大御所ということだと、1997年に亡くなったイラクのムニール・バシール (Munir Bashir) が有名だ。持っていたCDとレコードは手元にないのだが、Spotifyを検索したら、いくつかアルバムがあった。中でも息子のオマル・バシール (Omar Bashir)とのDuoのアルバムがいい感じだ。
マカームと呼ばれるペルシャ・アラブの古典音楽の音階と旋法による演奏は聴いていてクセになる。
(*2) この動画は、若干、著作権で問題ありそうだ。いずれリンク切れになるかもしれない。なるべく著作権の問題がないようにしたいので、公式のチャンネルを基本にしているが、たまに問題ありそうなのも混じってしまうと思う。
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