火曜日しばらく雑記帳・2023 CW09
先週の木曜日は祝日で休みだった。水曜日の晩に新幹線で京都へ移動し、金曜日は休日をいただいて、4連休にした。冷たい雨が一日中降っていた金曜日は、確定申告やらなんやらと午前も午後もちょっと用事があったので、出たり入ったりしていたのだけれど、結局あれやこれや気になって、仕事もいくらか対応してしまった。
そんなバタバタで少し捻ってしまったのか、それとも緊張して固まっている時間が長かったのか、腰を痛めた。といっても椎間板ヘルニアとか圧迫骨折や脊柱管狭窄症のような大変なものではなく、捻挫や寝違えと同様な鈍痛くらいの話である。
とはいえ、腰は身体(月)のかなめ(要)である、と人は言う。生活上、大きな問題のない程度だったとはいえ、鬱陶しいものだ。
人が自分の身体を意識するのは自分の身体が思うように動かない場合だ。あるいは、人が自分の気持ちを意識するのは自分の気持ちがざわつくときだ。なんとかしようと意識が働きなんらかの努力をするわけだが、そこに主体としての自分とままらならない内なる自然が意識されることになる。いわば、身体や気持ちが、意志の働きかけの対象として客体となるわけだ。
ところで、夢中になって仕事や趣味に没頭して時間がたつのも忘れてしまったという、いわゆる「フロー」の状態の間には、自分の身体や心を意識することはない。主体としての自分、そして客体としての身体や気持ちが消失してしまう状態である。そこでは主体も客体もなくなり、もっと根源的な部分から動かされているともいえよう。
そのような自己を本来の自己としてあるべき姿とするならば、痛みについて、なんとかしようとする対象として身体を自己の外におくことをせず、痛みとともにあろうとすることで身体を持った自己として生きることができるのだろう、と思いつつ湿布を貼っているのであった。
自分が自然や社会の一部であり主体であることを失わないようにしながら、それと同時に、自然や社会を客体として働きかけるというのは、ときに非常に難しい。
■ビストロしまむらといえばスパゲティ、妻にも娘にも好評なのだが、「あまり工夫をせずにいつものとおりに作ってほしい」と言われるのがちょいと難しい。
春が近づいてくると豆ごはんだ。京都のスーパーで、うすいえんどうが出回り始めてきた。早速購入してきて、豆ごはんを作った。グリーンピースよりもクセが少なく上品な味だ。新横浜の事務所のまわり、あるいは、川崎のオフィスの周辺、たぶん関東一円では入手しづらいのではないかと思う。
レシピは特に奇をてらうことなく、さやから出した豆を米と一緒に炊くだけである。普通の水加減に、塩を少々、料理酒を少々を加えて炊飯器で炊けばよい。塩加減はお好みだが、私は1合に対して小匙 1/2よりちょい少な目くらい。もっと塩を効かせるほうが好みな人も多いと思う。料理酒は1合に対して大匙1強くらい。こちらはそれほど神経質にならなくてもよい。
毎年、うすいえんどうが手頃な値段で入手できる春の楽しみだ。
■先週に引っかかった音楽を少し
1.新進気鋭のギタリストジュリアン・ラージ (Julian Lage) と今や大御所のビル・フリゼル (Bill Frisell) によるギター・デュオによる新しいシングル "This World" がちょっと不思議な感覚でよかった。
ご本人による解説つき Facebookへの動画投稿もある。もともとビル・フリゼルを加えたトリオのために作った曲とのことだ。リハーサルをしてみると、ビルと2本のギターにして、音にもっと隙間を作り親密でくつろいだ雰囲気にしたほうがよいだろうと、考えを変えたとのことだ。
ビル・フリゼルと、彼のトリオとの演奏といえば、そういえば3週間前にも、"The Layers"がリリースされていて、こちらは少しカントリーっぽい感じで柔らかい不協和音が楽しい。
どちらの曲も、ビル・フリゼルらしい怪しい雰囲気が醸し出されていて気に入っている。
2.インドネシアの エミリア・コンテッサ (Emillia Contessa) の歌が耳にとまった。大ファンの ヘティ・クース・エンダン (Hetty Loes Endang) とグレース・サイモン (Grace Simon) との3人それぞれのヒット曲を集めたベスト盤が去年に出たらしく、その中のシングルがひっかかったというわけだ。Grace Simon, Emillia Contessa の二人は迂闊なことに今まで聴いてなかったように思うが、なかなかよい。
3.ドイツ出身でジプシー・ジャズギターの Joscho Stephanとビブラフォンの Matthias Strucken の新作アルバム "Travels" から毎週のようにシングルカットされていて、先週は Misty だった。最近、Misty をいろいろなミュージシャンが演奏するのを聴く機会が多い。こちらは口笛でも吹きながら歩いているような軽やかな演奏だ。
4.イタリアはシチリアの凄腕ギタリスト、マッテオ・マンクーゾ。ベーシストはじめテクニシャンぞろいのイタリアのバンド DRIFT LAB との共演でさすが。
去年の年末のライブ動画もよかった。ジェフ・ベックの "Cause We've Ended as Lovers" から惚れる。
ついでに2020年のライブもいいので貼っておこう。ウエザー・リポートの "Black Market"、楽しい演奏だ。
2'20"から Black Market のテーマが入るまで、バードランドやスーパーマリオのテーマをからめて遊ぶ感じもいいし、楽しく聴ける。
次の動画、2021年のライブもエキサイティングだ。インタビュー(英語字幕つき)も聞ける。
ラフで気取らない、いなせないで立ちも好感触。
5.Ramiro Pinheiro と Alice Bogoertの EP "Bossa-Sur-Scene" がなかなか新鮮だった。
ブラジルのギターとフルートのデュオというのはありそうでなかったような気がするがどうだろう。
6.LAのバンド Dark Bardoとジンバブエ系アメリカの女性シンガー Shungudzoを featureしての "Wild Thought," 勢いがあってなかなか聴かせる。これがデビュー・シングルのようだが、ちょっとネットで検索してもよくわからない謎のバンドだ。
7.ギリシャのフィリッポス・プリアツィカス(Filippos Pliatsikas)のシングル、女性ボーカル、ナターシャ・ボフィリウ (Natassa Bofiliou)を迎えての "Afieromeno"、じっくりと味わい深い楽曲で気に入ったので何度か聴いた。
ナターシャ・ボフィリウについては、以前に雑記帳に書いたが、ギリシャ・地中海の雰囲気たっぷりの哀愁のこもった力ある魅力的なボーカルで好きなタイプだ。
■ 腰に鈍痛をかかえた状態ではあっても、7分/kmくらいの速度でゆっくり走るのは大丈夫、それでも自重して、土曜日のジョギングは8.2km程度にした。
今、湯浅泰雄の「身体論」を面白く読んでいる。本論は3章で構成されていて、前後に序章と結論がある。
第一章「近代日本哲学の身体観」では和辻哲郎と西田幾多郎のそれぞれの身体観について筆者の視点から解釈しなおし、東洋と西洋の知のありようを比較している。第二章では、東洋の理論の哲学的基礎としての「修行」の考え方について、仏教の教えるところをインド、中国、日本で歴史をたどりながら比較し、道元と空海の哲学について分析している。第三章では、東洋の身体論の意味するところを現代的観点から考察される。
今ちょうど半分くらい、二章の途中、空海を論じているパートに入ったところだ。
第三章の内容について、序章には次のように書かれている。
ちょうどよい。なかなか楽しみだ。
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