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【人事に効く論文】1on1ミーティング、マネージャーにとっては負担なんですよ、ぶっちゃけ…

She, Z., Li, B., Li, Q., London, M., & Yang, B. (2019). The double-edged sword of coaching: Relationships between managers’ coaching and their feelings of personal accomplishment and role overload. Human Resource Development Quarterly, 30(2), 245–266.

1. 45秒で分かる論文の概要

学術的にはマネジリアルコーチングと呼ばれる1on1ミーティングですが、従来の多くのマネジリアルコーチングに関する研究では、部下への影響に焦点が当てられてきました。この論文の新しさは、コーチであるマネージャーに着目したことにあり、中国のとある製造業企業の現場マネージャー92名とその部下449名分のアンケート調査結果を元に、以下の仮説が検証され、すべて支持されました。(じっくり読むのが面倒であれば、「2.私的な解説/感想」に飛んでください)

仮説1a:マネジリアルコーチングはマネージャーの個人的達成感と正の相関がある
仮説1b:マネージャーの個人的達成感はマネージャーの職務満足度と正の相関がある
仮説1c:マネージャーの個人的達成感は、マネジリアルコーチングとマネージャーの職務満足度の関係を媒介する

仮説2a:マネジリアルコーチングは、マネージャーの役割過重と正の相関がある
仮説2b:マネージャーの役割過重は、マネージャーの職務疲労感と正の相関がある
仮説2c:マネージャーの役割過重は、マネジリアルコーチングとマネージャーの職務疲労感との関係を媒介する

仮説3:知覚された組織的支援(POS)は、マネジリアルコーチングと個人的達成感の関係を調整し、この関係はPOSが高いマネージャーほど強くなる

仮説4:知覚された組織的支援(POS)は、マネジリアルコーチングと役割過重の関係を調整し、この関係はPOSが低いマネージャーほど強くなる

2. 私的な解説/感想

皆さんの組織では上司と部下の1on1ミーティング、実施されていますでしょうか?   実施されている場合、「正直、あの上司から1on1なんて受けたくない」と思っている部下の方が多いかもしれません。しかし、この1on1、上司にとっても大変なんですよね。準備が色々とありますし、世の中、従順で聞き分けの良い部下だけではありませんから。その上司側の大変さを検証したのがこの論文です。そして、1on1を実施することによって上司は負担感・疲労感を覚えるのですよ、という結果が数字で示さました。
ただ、救いもあります。それは1on1に対する組織的支援を上司が認識していれば、負担感や疲労感が軽減され、達成感につながりやすくなるのです。会社が管理職に対して1on1のスキルをちゃんとトレーニングする、1on1をしっかりやっている管理職を表彰する、あるいは1on1の重要性を経営層が事あるごとに訴えたりするなどすれば、1on1はより一層有意義に機能することでしょう。

3. 読後の余談

知覚された組織的支援(POS)について詳しく知りたいというマニアックな方は、以下の記事を参照してみてください。

2024年10月13日 初稿作成

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