祖父の日記をもとに書かれた小説
わんわんと大声で泣いて目が覚めた。
時計はまだ3時を指している。
夢に祖父の日記が出てきた。
緑色の表紙だった。
韓国の人気作家が話題の小説を発表した。
その本の帯には【ある日本人兵士の日記から着想を得て書かれた作品】だと書かれていた。
韓国から届いた個包には、手紙と発表した本と祖父の日記が入っていた。
という趣旨が書いてあった。なぜ祖父の日記をその作者が持っていたのか、その経緯は分からない。
祖父の日記は緑色だった。
布の表紙は擦れて全体的に深緑になっていた。
膨れた手帳には名前や住所のようなメモ、若き日の祖父の白黒写真も挟んであった。
戦時中、祖父は平壌にいた。
日記には、妻を想って書いた詩や、現地の人への感謝、そして上司の命令で人を殴ってしまったことの後悔などが等身大の言葉で綴ってあった。
苦しみながらも、愛しい人へ優しい言葉で書き続けた日記は人間くさく、涙が溢れてきた。
優しい人が、自分を偽って生き延びるしかなかったんだ。
今年の3月に100歳を迎える祖父。
まだ会えること。言葉が通じる事。
愛しく思えて泣いた。
これはすべて夢の話で、
本当に祖父の日記が存在するのか分からない。もちろん、そんな小説もない。
ただ、日記が緑色だったこと。
自分が声を出して泣いていたことがとても印象的で、忘れないうちに書いておく。
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