門前仲町「たにたや」さんと、季節のお弁当を考える。(その12 小暑)
小暑とは
梅雨が明け、強い日差しと共に気温が一気に上がる時季のため、体調を崩しやすくなる頃でもあります。天気予報やニュースで「小暑」という言葉を耳にしたら、本格的な夏を迎える合図だと思って下さい。
正式には次回の「大暑」からですが、小暑から暑さがどんどん強くなっていくという意味があり、この頃から暑さが本格的になってきますが、梅雨の終わる頃で、集中豪雨が多く発生する時季でもあります。実際に、中国・九州では大雨のニュースが七夕あたりから増えております。。またこの日から「暑中見舞い」を出し始める時期です。
「暑中見舞い」というと、お盆の前に贈り物を持って直接訪問した名残りで、訪問するかわりに挨拶状を出すようになったのが始まりだといわれています。
出す時期は小暑から立秋の前日まで。正式には大暑からという説、夏土用の間に出す説もあります。この期間であっても梅雨の間は控え、梅雨明けした後に出すのがよいでしょう。
12回食べて、実は変化ありあり弁当。
実は、『門前仲町「たにたや」さんと、季節のお弁当を考える。』も12回目を数え、いよいよ前半が終了、次回「大暑」が後半の1回目となってきました。1回目から振り返りますと、お弁当の質が上がるのはもちろん、一番変化を感じるのは、『お弁当を作り上げる』という所作に慣れてきていることを感じました。
まず見た目、盛り付けです。今までは、門前仲町で予約で来られる、気の利いたお客さま相手という認識の提供・サービスでしたので、まずは「少量・味付け」重視でした。しかし、回を重ねることとに、店舗で提供できなくなったことがネガティブではなく、ポジティブと捉え、そのお弁当箱の箱の中で、料理を楽しむようになったというクオリティが感じられるようになったのです。その変化が「見た目・盛り付け」でした。この圧倒的な差は、コンサルやアドバイスではできあがりません。そして、屈指の料理人や玄人が、一緒になって盛り付けをすることはスピード感としては大切ですが、僕は、一定の時間をかけながら、楽しみつつ、自分で料理の工夫、そしてお客様が喜ぶ工夫をすることが大切だと感じています。だから、ぜひ第1回目の記事を読んでいただければわかると思うのですが、圧倒的に違いがわかると思います。
次に、「季節を意識し始めた」ことです。この24節気のお弁当をクリアするということは、基本的に「旬を意識すること」が大切です。その中で、楽屋が変わるように、野菜、魚が入れ替わります。実は、谷田さんも豊洲市場に、ドリンクスタッフとともに通うようになりました。そこで見つけた魚を仕入れ、自ら捌き、それをお弁当に入れ込むようになったのです。この変化が、僕にとって成果だと思っています。野菜よりも旬を意識し、そしてその鮮度を逃さず、お客様に提供することが楽しくて、そして難しいのが「魚」だと認識しています。だからこそ、日本には「寿司」があるように、他には真似ができない調理方法が、ここ日本には存在すると感じています。
今回、広島サーモン(上記、谷田さんのSNSから拝借しました)を品目にラインナップされていました。「広島」「サーモン」という土地柄、銘柄にこだわるのではなく、自らが「このサーモン美味しそうだから、絶対お客様も喜ぶに違いない」というメッセージが見えたからこそ、僕は評価しました。
料理を提供する飲食店では、なくてはならない要素です。
どんなすごいスキルがあっても、その食材に魅力を感じなくてはならない。そして、その食材を手に入れようとする生産者、漁師がいて、市場で流通にのり、飲食店に届くことを忘れないと欲しいと感じております。
僕らは「日常盲」になっていないか。
ところで皆さん、色盲メガネってご存知でしょうか。
「色盲」は、色を見る能力に関する異常のことです。 青と黄色、赤と緑など、特定の色を見分けづらい状態にあります。ひょうなことから、このyoutubeを見つけました。
生まれた時から、「色」を知らなかったら。
そして、そのメガネによって、新しい世界が開けたとしたら。
その時の感動は、僕らには感じたことがない価値を与えます。
僕は食の仕事で、地方によく出かけます。
20年、21年、約1.5年、今まで以上に地方に行くチャンスが失われました。地方や海外に行く時、目に飛ぶ風景の「第一印象」が大好きで、その都度、アドバイスやコンサルするときに「(自分が見た、感じた)第一印象を大切に」と話をしていますが、このyoutubeで感動したのは「緑色の豊富さ」というものです。
もちろん、赤や紫の出会いは素晴らしいですが、緑色の豊富さに感動している様をみて、久々に心が震えました。僕が地方や、海外に行った時と同様、「今まで見ていた日常が、人生がひっくり返るくらい変化する時」は、必ずあるんだと思っています。
それがこの動画では「色」でした。
普段、自分の目から飛び込んでくるもの、そして感じているものが、
一定的に同一だとしたら、魅力的でしょうか。
日々繰り返すことでも、毎年、毎月、毎日異なる日々がやってくる中で、
これ一つ同じ日はありません。
このお弁当も12回となりました。7月中から13回目「大暑」となります。ぜひ次回も僕もたにたやのお弁当からいろんなヒントをもらおうと考えています。
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