ダラダラするよ

※この記事は映画『WE ARE LITTLE ZOMBIES』のネタバレが含まれております。

多くの社会人が休日を楽しむ1番の理由。それは、自分のリズムで生活しても「なにも問題ないから」ではないだろうか。

好きな時間に起きて、寝て、時間を気にせず物事に没頭しても困らない。自分だけの時間軸で生活を行える日。集団で生活をしていると時間を気にして、時間に縛られて生きているのだと、休日になると実感する。

私は休日の土曜日、夏休みの終わりの代名詞でもある8/31の23時〜3時まで映画を見ていた。しかも同じ映画を立て続けに2回見たのだ、4時間を1つのものに消費したことになる。

タイトルは『WE ARE LITTLE ZOMBIES』

それぞれ違う理由で両親をなくした、13歳の子供4人の話である。4人のうち一人は女の子で、火葬場で出会い、バンドを結成する。

この映画はまだ上映中だが、8/31の1日のみ限定で無料公開されていた。

たまたま友人が映画の造形で関わっており、Twitterのリツイートで情報が回ってきた。私にとって『WE ARE LITTLE ZOMBIES』は、公開当時見に行きたいと思いながら未視聴の映画であったため、いそいそとPCモニタで視聴することにした。

映画はドット絵のオープニング映像からスタートする。場面転換もドット風のフォントで、劇中BGMもドラクエやスーパーファミコン時代のスクエアを彷彿とさせるようなものもあった。

映画『WE ARE LITTLE ZOMBIES』オープニングクレジット映像
https://youtu.be/ApfBedPavdo

出てくる子供4人はいじめられていたり、DVを受けていたり、意図せず周囲の人々に巻き込まれ、日々生きづらそうな子供達だ。ここまで聞くと暗い雰囲気の映画になりそうである。しかし、場面転換や演出がレトロゲーム風であったり、絶妙なコミカルさで描かれるため見ていてそれほど重く感じない。

実際登場する4人も両親が死んだことにあまり感傷的にならず、どこか淡々としている。(生活を親に依存して生きている年齢のため、ここから先どうしようかと、途方に暮れているだけとも取れるだろうか?)

両親が亡くなっても涙ひとつ流さない彼・彼女たちも、時々漏らす言葉からやはり両親を慕っていたように受け取れる描写がある。人は傷ついても現実世界で他人に表現することはあまりないので、ある意味リアルだと思った。

個人的にこの監督は今回の映画を通して、どうしようもなく絶望的な場面でも、真剣に向き合いすぎず、生きて欲しいとのメッセージがあるのではないかと私は感じた。

人が生きる上で必要なもの、この映画の場合彼らはまだ義務教育途中で親が必要不可欠だ。生きる上で必要なものを奪われた人がどう生きていくのかを、青春のスパイスを加えながら描いた映画だと思う。

実際彼らは劇中勢いでバンドを結成し、トントン拍子に売れ、そして大人の事情でバンドを解散する。

バンドがなくなり、「生きる意味、なくなっちゃったね」と劇中でのセリフがある。

「もともと生きる意味なんてないよ、私たちゾンビだし」

ここで言うゾンビとは、外から見て無感情で、必要としてくれる人もおらず、生きがいをもたないことを指す。

そんな4人が最後に歌う曲は、ゆっくり歩くこと、だらだらすることに肯定的な感情のが持てる歌だ。生きづらさを覚える人間にそれでいいじゃない、真剣に向き合わなくてもいいじゃないと言ってくれる映画だった。

【公式MV】ZOMBIES BUT ALIVE
https://youtu.be/MICIdvTXvDs 

そんな感じで、宿題を忘れても、やるべき家事を忘れても「まあ、問題ないか、死ぬわけじゃないし」となんとなく心が軽くなった8/31になった人が多いのではないだろうか。

ゾンビは今日も生きている、私もダラダラ生きよう。


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