見出し画像

#11 サッカーでは勝利を絶対的な指標にすると幸せが頭打ちになるという話

勝ったり負けたりがサッカーの醍醐味の一つであることは間違いありません。

しかし、サッカーの本質は試合結果では無いと考えています。

この考えに至った理由は、
試合結果をサッカーの楽しみの中心に据えてしまうと幸せの総量が減る
と思っているからです。


そもそもサッカーは勝ちにくいスポーツ

2023年にグアルディオラがプレミアリーグ最速で200勝をあげました。
200勝するために要した試合数は269試合
勝率は74%
これは異次元に高い数字です。

200勝するまでの試合数が少ない2位〜5位は
2位 アレックス・ファーガソン(322試合)勝率62%
3位 ジョゼ・モウリーニョ(326試合)勝率61%
4位 アーセン・ベンゲル(332試合)勝率60%
5位 デイヴィッド・モイーズ(511試合)勝率39%

2023年時点で200勝に到達した監督限定ですが、
10試合で6勝できればかなりの名将と言えます(プレミアリーグでは)。

思ったより少なくないですか?

近年のプレミアリーグは全体的にレベルも上がっているため
勝率を高めることは非常に難しいと考えられます。
そのなかでの勝率74%は、もはや外れ値です。

そのため、
勝つことのみに価値を求めると、ほとんどのチームは価値を担保できなくなります。
また、勝ったら幸せ、負けたら不幸せという価値観で試合を見ていると
幸せの総量は高望みできないことになります。

いや、勝てばクラブが儲かるんだから勝つことが重要だろう

と思う人もいるでしょう。

しかし、プレミアリーグにおいては収益と順位に相関関係は見られません。

クラブがトロフィーを獲得すれば、当然ながら収益も上がると考える。だが、その見方も誤りだ。

「ジャパン」はなぜ負けるのか 経済学が解明するサッカーの不条理

この原因の一つには、選手に高すぎる年棒を払わなくてはいけないというものがあります。

ひとまず「勝つ=クラブが儲かる」という図式ではなさそうです。

また、論文においても

得点機会の多寡は攻撃の有効性を測る上で試合結果よりも信頼性が高い

Olsen and larsen (1997)

とされており、試合結果は評価指標としては信頼性に乏しい部分があるとされています。

勝利の代わりに指標とすべきなのは

私が思う良い指標は
チーム(クラブ)の哲学(フィロソフィー)に沿って戦えているのか?
です。

『Atomic Habits』で以下の図が出てきます。

「自分は何者なのか」
というコアの部分が明確でないと行動には繋がらない

サッカーチームにおいても
「自分達は何者なのか」
が明確でないとサポーターはついてきてくれない
と考えました。

これはゴールデンサークルで言われてることと相似しています。

https://re-departure.com/36474.aspx

外側のOUTCOME(勝ち負け)だけにフォーカスすると
禁煙に挫折したり、ジム通いが続かないのと同様に
サポーターが離れていってしまうのではと思います。

サッカークラブにおけるアイデンティティとは

このコアに当たるアイデンティティが
クラブフィロソフィーだと考えています。

どんなチームであっても
「自分達は何者なのか」
これを明確にして、それに沿った行動を全員が取り続ければ
必ず共鳴してくれる人が出てきます。

だから
クラブフィロソフィーを明確にすること
それをチームに浸透させること(行動に変えること)

の重要性が叫ばれているのだと思います。

まとめ

最初にも書いたように
勝ち負けがサッカーの醍醐味であることは間違いありません。
勝ったらいけないとかそういう話ではありません。
誰だって

勝てば嬉しいし、負ければ悔しい

でもそれらは意外と外側の出来事で
サッカーの本質は
勝とうが負けようが応援し続けたいと思えること
クラブがフィロソフィーに沿って戦う姿を見るのが幸せと思えること

なのだと思います。

大量のお金が投入され
ビジネスマンが介入してきている昨今のサッカー界において
それぞれの地域で輝く
というJリーグがクラブに求めている目標の一つは
本質に迫っているものなのかもしれません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?