米IPO復活、調達額最高に
米新規株式公開市場が活況だ。10日に上場した民泊仲介の米エアビーアンドビーは初値が公開価格の2倍を超え、時価総額は一時10兆円に達した。2020年の米IPO市場の調達総額は約16兆円と過去最高を更新した。低金利を背景にマネーが集中しており、過熱しているとの声も聞かれる。
危うさもはらんでいる。20年の調達総額の約半分はSPAC(特別買収目的会社)と呼ばれる上場時に事業の実体を持たない企業によるもの。あらかじめ資金調達したSPACが有望な新興企業を見つけ「逆さ合併」の形でその新興企業が上場する。新興企業にとって上場準備期間の短縮につながり、伝統的なIPOに代わって利用が増えた。SPACには「裏口上場」との批判も根強い。
米証券ミラー・タバックのマシュー・マリー氏は「(低金利を背景に)運用難の投資家が短期的に高いリターンの見込めるIPO銘柄に殺到している」と述べた。
著ジェレミー・シーゲル「株式投資の未来〜永続する会社が本当の利益をもたらす」ではIPOに人気が高まってくるとバブルの兆候であると書かれている。
言われてみれば大規模な金融緩和による市場の金余り状態で金やビットコインなどの金融商品も上昇ししていることからするとIPOの過熱感も納得できる。
ただ業績が伴わない企業が多く、個人投資家は短期で取引することが多いとある。そのような個人投資家の行動を察して大口はそれらを狙っているに違いない。
もし大口が大量に売りを入れたとすれば市場は暴落のリスクが高まるだろう。それは最近では人ではなくAIが運用管理をしているからである。なので突然、暴落する可能性も考えられる。かつて2年ほど前の年始にそういうことが起きた。
世界各国で金余り状態が続き、株高になっている。大統領選後のご祝儀相場ではあるが過熱感からみれば数年以内の暴落のリスクは高い。リスクを考慮したアセットアロケーションが必要である。
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