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週末は木立の中へ引っ越し 3 冬枯れから春色へ
冬枯れから春色へ
車で出稼ぎ場から段々と本宅に近づいてくると葉の落ちた雑木の里山が、ぽやん、ぽやん、と淡いピンク色に染まっているのが見えてくる。山桜。里山に春が来たことを告げる。空には鶯の声が透き通って聞こえてくる。まだまだ空気は澄んで冷たい。気温が上がっても空気が温まってないので冷たい。でも少し経つと冬枯れの木立が若草色に染まってくる。植林の濃い緑と若草色と淡い桜色。それが里山全体を染めてゆく。それはそれは綺麗でいつまでも見ていたい気持ちになる。
田んぼではトラクターが入り天地替えをする田おこしが始まる。あぁ、春が来たんだなぁ、と感じる瞬間。寒く縮こまった心に里山から元気になってね、ほら!と「ほっこりプレゼント」をされたような気分になる。本宅の敷地には在来種のタンポポが一斉に咲いて、
「お帰りなさ〜い!」
の歓迎を受ける。春、なんていい季節なんだろう。都会では気温でしか感じられないものが田舎では体の五感で感じる。だから五倍感じて春を楽しめる。こんな贅沢ってあるだろうか。いつも春はニコニコ顔の笑顔が絶えない日々となる。