表現について、さんぽしながら考えた / 徒然ブック 2頁
表現っていろいろあるよね。
たとえば、緑色をイメージしてほしいとき。
noteのアプリの緑色もあれば、生垣の緑もあるし、なんなら青信号だって緑に見える(ような気がする)。今日は何本もエ〇ブルの旗を見たけれど、それも緑色に見える。
どんな言葉を使って、どんな緑を表現するか。いろんな表現ができるから、十人十色どころじゃないよね。
私は文章を書く機会が多いのだけど、読み手がイメージを膨らませるにはどんな言葉が合っていそうか、よくよく考えるようにしている。
私の好きな本に、こんな一節がある。
「その声は庭の踏み石を濡らす春の雨のように、僕らの意識を柔らかく洗う。」(村上春樹『海辺のカフカ』より)
これ読んだとき、本当に本当に感動したのよな。だって、人の声について表したいときに「春の雨」っていう言葉なんて出てくる?
きっと、「春の雨」と言いたくなるような、しっとりとした感じで、やさしい話し声だったのかな…
作者の表したいイメージと、読者の受け取るイメージとが離れていたとて、それはまったく悪ではないと思う。なぜなら、イメージの違いは作品の新しい深さを生み出すから。
でも、私がなにか言葉で表現するとき、「伝えよう」とすることは、怠らないようにしたい。