僕、純文学が好きだ
ぼく、パンクロックが好きだ!
ブルーハーツのファーストアルバムを買うまで、この曲のことを知らなかった。
初めて「パンクロック」のサビを聴いたとき、「え?」と思った。
「中途半端な気持ちじゃァなくてッ」
そんな歌詞ありなのか、と。
これ、同時代のアーティスト志望が聴いたらこたえるだろうなあ。「うわ、先言われたよ、どうすんだよ、もう音楽やる気なくなったよ……」と。
でもこんな基礎的な歌詞、どうして誰も書いてこなかったんだろう?
実はみんな書いてるけど、ブルーハーツほどしっくりこないのだろうか。
多分そうなんだろう。少なくともヒロトが「パンクロック」を書いた瞬間において、ヒロトよりパンクロックが好きな人はいなかったんだろう。
文学の新人賞で、「純文学」というタイトルの作品が候補になるとする。
一見、興味は引く。どれ、ちょっと読んでやろうという気になる。
書き出しは「ぼく、純文学が好きだ!」ふむ、悪くない。
ただ、ここからだろう。そこからは何を書くかという頭の中でのことは関係なく、作者の生活が問われる。作者はスマホを持ってはいけない。インスタ、YouTubeを1秒でも見てはいけない。映画も音楽もしてはいけない。
なぜならそういう甘えは文章に出るから。毎日仕事終わりに机で書いている人、それを継続した人、休憩時間は小説を読み、ご飯中にスマホを見ない人。それで初めて「ぼく、純文学が好きだ!」の説得力が出る。
昨日マッチングアプリを始めた僕は……