なぜ本番でしくじるのか。本来追い求めるべき目標とは。
失敗が許されないときほど失敗してしまう。
大一番で実力が発揮できない。
プレッシャーに弱い。
今までの人生を振り返るとこのような経験を何度もしてきた。
英語の試験中、急に英文が一文字も読めなくなったこと。
サッカーの試合中、考えられないミスを連発してしまったこと。
大勢の前で話そうとすると、緊張してうまくできないこと。
自分でもおかしいなと感じるものの、その場で修復することはできなかった。そして、後からどうしてそうなってしまったのか考えても原因はわからなかった。人によっては一生の後悔として残る場合もあるのではないだろうか。
どうしてこれが起きるのか、どうしたら防ぐことができるのか、立ち直ることができるのかを知っていたらもっと後悔ない人生を送ることができたのかもしれない。
と思えるくらい、私にとっては長年の悩みだった。
これからの人生、大事なときほど、力が発揮できるような人になるべく、ブログを書いていきたい。
プレッシャーを感じるときの失敗のメカニズム
前提として、能力の大小は関係なく、これは誰にでも起こり得る。
むしろ、能力が高い人ほどプレッシャーを感じて、力を発揮できないケースが多いという
能力が高い、または、やり慣れていることをする時は、人間は無意識的に行動することが一般的である。
例えば、数学において単純な計算をするとき、引き算の前に割り算をすることをいちいち考えて行わないし、バスケでフリースローをするときに、手首や膝の動かし方をいちいち考えることはしない。プレッシャーがないときは考えることなく、成功することができる。
大事な試験や試合のときには、不安が脳の活動の邪魔をする。
不安にはいろんな種類があり、周りの目を気にして生じるもの、頼りにされているときに失敗することを恐れて生じるもの、偏見から生じるものなどがある。
そしてこれに対して、いつも通り行うことを心がけようと論理的に対処しようとすると逆効果になり得る。
これがこの問題の一番難しい点だと思う。自覚して治そうとすればするほど泥沼に陥るという仕組みだ。
しばしば「あのときのミスについて考えるな」というコーチングが行われているのをみかける。これも逆効果で、シロクマについて考えるなと言われると逆にシロクマについて考え始めてしまうように、コーチングによってますますミスを意識するようになってしまう。
中学時代、上の代とのサッカーの試合中、緊張からミスを連発することが多々あった。
普通なら怒られて当然の場面であるが、顧問の先生は黙ってみていてくれた。コーチングが逆効果のことを知っていたのかは定かではないが、そのような配慮のおかげで僕は今でもサッカーを好きでいられているのかもしれない。
対処法
これまで述べてきたようなメカニズムを知ることは対処の一つである。
それ以外に日頃のトレーニングや考え方で対処することはできるのか。
いくつか方法があげられていたので取り上げたい。
①慣れる
軽度のストレスのもとで練習することで、予防することができる。
軽度のストレスというのは、バスケのフリースローを外したら、ダッシュ1本のようなものでいい。
試合での大事な場面と近い緊張感のもと練習することで、実際にその場面に立ち会ったときにいつも通りのプレーがしやすくなる。
②ゆっくりせず、素早く行動
慣れている行動に関しては無意識で行うと良い結果を生む。
逆に意識的に考えると上手くいかない場合が多い。
そのため、素早く行動し、考える暇を自分に与えないという対処法がある。
野球のピッチングの間やバスケのフリースローなどはわかりやすい例だと思う。
③治療介入を行った上での、失敗シーンの振り返り
自分がプレッシャーによって失敗したシーンをただ見返すのは悪影響がでやすいという調査結果がでている。
治療介入とは、三つのステップを踏む
①失敗をみたときに感じたことを表現
②何が上手くいかなかったのか考える
③自分が変わった姿(成功した姿)を想像する
これをして、負の感情を取り払った上で、失敗の映像を見ることはプラスの効果がでる。次は~してやろうというプラスの感情から、次の行動につながりやすくなる。
感想
現状、プレッシャーのかかる場面で力を発揮できる人が、真に優れた人という考え方が主流である。
たしかにスポーツにおいては一発勝負のトーナメント戦が重要視されるし、試験も基本一発勝負である。
だからこそ、この本に書かれているように、本番でしくじらないことはとても重要である。
この本を読みながらしくじらない方法を学んでいったわけだが、同時に本番で力を発揮できないことはそんなに悪いことなのかという疑問もうまれた
どういうことなのかというと、先ほど記したように、プレッシャーで力を発揮できないというのは、その物事に熱心に取り組んでいて、どうしても成功したい、受かりたいという強い気持ちの結果生じる不安が原因である。
この感情があるからこそ、成功したときに大きな喜びを得られるという考え方はもちろんわかる。自分自身もそれを味わうために長年サッカーをしてきたので。
しかし、この強い感情が物事の本質的な楽しさを感じにくくさせている一面もあるのではと思う。
なぜ多くの人は長年続けてきた競技を最後の大会を終えた瞬間辞めることができるのか。
なぜ入試が終わった途端学ぶことを辞めてしまうのか。
大会や入試の結果がいつの間にか、その競技、学業のゴールになってしまっている。
プロを目指す人にとってはそれでいいのかもしれないが、その他大勢の人にとっては競技の楽しさ・学ぶ喜びを感じ続けられることの方がはるかに重要だと個人的には感じる。
始めた当初に感じていたような楽しさは徐々に薄れ、目標を達成するために日々キツい鍛錬を積み、プレッシャーに耐え続けなければならない。
だからこそ、目標に到達した途端、新たな目標に向かうことがおっくうになり、辞めていくのではないだろうか。
目標を追い求めなければならないというプレッシャーは、本番に最大限のパフォーマンスを発揮できなくさせるだけでなく、本来の目的である楽しさを奪っている可能性がある。
目標があるから頑張れるという気持ちはもちろんわかる。
目標がすべてではないと教えてあげることも個人的には重要なのではと思う。
現在、私に指導者の経験はないため、これはただの理想論であるのかもしれない。指導をする際には何を追い求めるべきなのか。
これを常に考えることを忘れずに指導にあたりたい。
そしていつか自分なりの答えがだせるといいなと思う。
最後に…
今回紹介したことは本に書いてあったほんの一部である。また、本には詳しい実験方法、解説などが書いてあるので少しでも興味が出た人はぜひ本を読んでみてほしい。こんなまとまらない文章を最後まで読んでくださりありがとうございました。
以上。
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