腕が痺れるほどの肩の痛み-鍼灸師的見解をまとめてみた
関節や筋肉について専門的に学び、鍼灸師の私が実際に施術したケースをご紹介します。
今回は、腕がしびれるほど肩に痛みがある方のケースについて。
症状・経緯~脳神経外科・整形外科を経て鍼灸へ
年齢:49歳
性別:女性
職業:デスクワーク
1ヶ月程前から左肩から肩甲骨の内側にかけて、こりのような突っ張りのような何とも表現しづらい違和感があった。
普段の肩凝りだと1週間くらい経つと良くなるが、今回は段々と違和感の範囲が広がり、1週間ほど前から上腕の後ろ側、前腕の外側に痺れのような感覚が出てきた。
痺れが出たのは初めてのことで心配になり、脳神経外科で脳を診てもらったが異常なし。
その後、整形外科で受診したところ、湿布と痛み止めを処方され、症状の変化がなければ手術と言われた。
手術をする時間もなく、恐怖感もあり、しばらく放置していたが、痺れと痛みがひどくなり、知り合いの紹介で「手術をせずに済ませたいが何とかならないか」と春宵堂に来院されました。
見立て~首の斜角筋の過緊張が原因
この女性の場合、腕の痺れが出たのは初めてとのことでしたが、もともと肩と首が痛かったそうです。
動作分析と整形外科テスト(どの動きをしたときに症状が出るか)の結果、実際に問題があるのは首の筋肉(斜角筋)であることが判明。
この筋肉に過緊張があると、以下の図のように、つながっている腕と肩に行く神経が絞扼(こうやく)されて、痛みや痺れが出ることがあります。
このような症状は、デスクワークをしている方で、噛み締め、歯軋りをする、猫背の方に多いようです。女性に多いですが、男性にもいらっしゃいます。
施術~筋肉を緩めた後、血流がよくなったような感覚が
施術では、まず首⇒肩⇒腕に行く神経の走行を絞扼する場所(上記イラストの3箇所)のどこに原因があるのかを検査をしました。
その結果、最も悪さをしていた筋肉が、前述の「斜角筋(しゃかくきん)と言う筋肉だと判明。この筋肉が硬くなり、通過する神経を圧迫していたのが主な原因でした。
この筋肉を緩めたあと、腕が暖かくなり血流がよくなったような感じになり、痺れが半分位に減ったとのこと。
その後、3日後に来院して頂きました。
当初の痺れはあと2割程残っていたので、再度同様に施術。
2回目の治療が終わった時点で、あと1割位の痺れと肩凝りが残っていたため、1週間以内にもう一度来院。
3回目の来院された時点でほぼ症状は改善されていたので、首、肩周りの神経が圧迫されやすい場所をチェックし、緊張の強い筋肉を緩めて施術終了となりました。
「胸郭出口症候群」になりやすい4つの特徴
このような首の症状をおおまかに「胸郭出口(きょうかくでぐち)症候群」といい、前出のイラストの3つの〇のか所が原因となるとされています。
今回のケースはそのうちの斜角筋が原因だったわけです(斜角筋症候群)。
今回はデスクワークが多い女性でしたが、ほかにもこの症状が出やすい方には以下のような特徴があります。
デスクワークで同じ姿勢を長く続けている人
精神的緊張が強く肩や首の筋肉が緊張してコリが強い人
猫背で首が前に出て首の筋肉に負担がかかりやすい人
噛みしめや歯ぎしりで首の筋肉が常に緊張しやすい人
痺れがでると「脳に問題が?」と不安になり、脳神経外科に行く人が多ようです。
とはいえ、脳には問題はないですし、筋肉の硬縮はレントゲンにも映らないので、原因不明となって投薬治療となることもあるようです。
また、首の骨が真っ直ぐだったり骨そのものに問題があったりして、手術を勧められることも多いようですが、筋肉が原因なので手術をしても症状は改善しません。
頸椎症や首のヘルニア、脳や神経などの問題を疑い、痺れや痛みの鑑別やレントゲンなどで検査をしても問題が見つからない場合は、鍼灸がお役に立てるかもしれません。
ぜひ、お近くの治療院へ行ってみることをお勧め致します。
調布の方、京王線沿線の方は、ぜひ春宵堂治療院へお越し下さい。
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急性期、慢性期の各種関節痛を得意としています。