冷えは万病のもと-東洋医学は「冷え」を3つに分けて考える
鍼灸師の私が実際に施術したケースを記事にしています。
今回は「冷え」について。東洋医学的にみると、患者さんの「冷え」はざっくり3種類に分けられ、原因や対処法も異なります。
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「冷え性」だけど冷たい飲み物を好む⁈
「冷え性」はもっとも多い主訴のひとつ。
「冷え」が不調の原因と考え、夏でも温かいものを飲んだり、厚着を心がけたりする方が多いです。
しかし、詳しく問診を取っていくと、「冷え性」と言いつつ、のぼせるのでお風呂に長く入れない、アイスを毎日食べている、飲み会になるとビールを中ジョッキで飲んだ後にハイボールや酎ハイを飲んでいる、というちょっと矛盾にも思える行動をとっている場合も。
こういう方の場合、温める施術が逆効果となる場合もあり得ます。
ひと口に「冷え」といっても、実は原因も症状も施術もさまざま。
今回は、東洋医学的に考える「冷え」の分類と原因、対処法についてみていきましょう。
東洋医学的に「冷え」を分類すると
東洋医学的には「冷え」は、①「陽気の不足」か②「外界の寒さ(寒邪)によって侵襲されている状態」と捉えます。
①「陽気の不足」
これは、単純に生命力の弱った状態です。
もともと虚弱体質だったり、疲労が蓄積していたり、高齢だったりする場合に多いです。
胃腸が冷えていたら消化力が落ちたり下痢になったりしますし、泌尿器が冷えると頻尿になったり逆に小水が出にくくなったり、だるくなったり疲れやすくなったりします。
この場合、生命力を補う施術や、漢方薬などで調子が戻るでしょう。自分で出来ることは勿論温めることですが、それよりちゃんと、夜間、睡眠を充分に取ること、食べ過ぎずに、適量食べること、などです。
②「外界の寒さ(寒邪)によって侵襲されている状態」
寒くて風邪をひいたり、冷たいものを食べて胃腸がおかしくなったりした状態です。
これは身体にとっては緊急事態です。汗をかいてから寒い場所に長居したり、薄着で出かけて冷房がギンギンにかかっている室内でかき氷を食べたり、そんな場面を想像します。
元気な状態なら多少の寒さにも耐えられますが、たまたま疲れていて生命力が弱ってると、寒さで不調になってしまう場合も大いにあると思います。
この場合は、「寒邪」を強力に散じる施術や、漢方薬で調子が戻るでしょう。自分で出来ることは、とにかく温めること。汗をかくことです。
③第三の冷え~その裏に隠れた「緊張」と「熱」
しかし、特に自律神経失調気味の患者さんに多いのが、①でも②でもない、③第三の冷えです。
第三の冷えの場合、自覚している症状として挙げられるのは、手足の冷え。
これをもって「冷え性」と自己認識している方が結構多いです。
そしてまた、こういうタイプは、飲み会でキンキンに冷えたビールを結構飲んでいるのです。また冬でもアイスコーヒーを好んで飲んだりします。
これはどういう状態なのでしょうか?
東洋医学的には、これは気滞が強く四肢末端に陽気が届かない状態、つまり、熱が上の方(頭や脇腹部)に偏り、末端に全く血流が行かなくなってしまっていると考えます。
末端には血流が行かず、冷たい。一方、内臓部位には血液がたっぷりあり、冷えていない。だから飲食物は冷たくても平気なのです。むしろ、冷やしたい欲求がある場合もあります。
この場合、酷くなってくると冷え以外に以下のような症状が出てきます。
・顔が赤くて汗をかいているのに手足が冷えている
・動悸、そわそわ、イライラ、漠然と不安にかられたりする
・睡眠障害
・お風呂や、シャワーだけでものぼせる
「温める施術」が向かない「冷え」もある
第三の冷えの原因は、「気滞」。
つまり、常に何らかのストレスにさらされ、緊張が強いために気が流れずに滞っている状態です。
この場合、有効なのは温める施術ではなく、緊張を緩める施術です。
患者さんによっては、施術した直後から手足が温まったり、呼吸が深くなったりそわそわが収まったり、長期的には睡眠障害が改善したりします。
もし、主訴が冷えだからといってお灸などで温める施術をしてしまうと、内側の熱を増長させてしまって熱の症状が悪化する場合もありえます。
ただ、足など末端近くにお灸をすると、頭や胸辺りに偏った熱が下に降りて、症状が改善することもあります。その辺りはケースバイケース。
まずは、「冷えの原因が何なのか?」を施術前のカウンセリングと体表観察で探ることが必要です。
「私も第三の冷えかも?」という方は、ぜひお近くの鍼灸院で相談してみてください。調布近辺の方は、ぜひ春宵堂にお越しください。
次回は「冷え」とよく似ているけど異なる、「寒気」を東洋医学的にはどう考えるのかについてお話しします。
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西洋医学では原因が分からない不調を得意としています。
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