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花のある暮らしと、純豆腐【36食目】

梅が咲き始めている。

今年、冬が去るのが遅い。満開まで時間がかかりそうだ。

花が好きだ。

だが、気づいたら部屋に飾ることすら忘れていた。しばらく花のない部屋で暮らしていた。

弟が亡くなったのちの満身創痍のあり様は、想像した以上だった。急性期とはまた違った症状で抜け殻のようだった。

その頃から花に関心が向かわなくなった。

花がもたらす喜び

花もウツにとって不得手に入るだろう。切花ならば買いに行く、花を生ける、水を替えて手入れをするなど面倒な手間が多い。

それが花を愛でる醍醐味なのだが生命エネルギーが尽きた状況では、他の命に関わる余裕はない。

だが、2月になって花を飾る喜びが戻ってきた。

バラを買った。花瓶に挿すと窓を開けて空気を入れ替えた時のように空間がイキイキとし始めた。しばらく灰色だった部屋に陽が射し色づいた。

春が来るのを待って

ウツを抱えた日々は、振り子のようだと以前書いた。左右だけではなく前後にも揺れる。だが、止まり続けているのではない。少しずつ場所が変わり、目の前が明るくなる瞬間も訪れる。

ある夜、道端のクチナシに新芽を見つけた。こんなに寒い毎日でも、来る初夏に向かっているんだと教えられた。

そして、この病気を背負った者たちは、季節に限らず、寒い冬を越えて暖かな春が来ることを祈っている。重い心を今すぐセーターのように脱ぎ捨てたい。

眠くて、だるくて動けない身体を「よいしょ」と叫んで、軽々と立ち上がりたいと心底思っている。その方法を探している。

では、立ち上がって行き着く先は、どこなのだろうか。

目指すところは過去の自分ではないのはわかっている。

この日のワタシごはん VOL.36  純豆腐

前日の夜、ついノンアルコールビールを飲んでしまった。スッキリとおいしかったが次に震えがきた。寒い……。一気に冷えて後悔した。そのせいか翌日、純豆腐が食べたくなった。

これまでイマイチ純豆腐の味が決まらず歯痒かったので、「今日こそは」と本気でキッチンに向かう。

材料となるアサリ(冷凍)、豚バラ肉、白菜、玉ねぎ、卵、キムチ、ニンニクはある。豆腐はあいにく木綿で、本来のスタイルからは外れるが、賞味期限が切れる直前なので無駄にしたくない。買いに行くのはもっと面倒。

ワタシは、韓国料理の王道調味料である「牛肉味 ダシダ」の匂いが苦手で常備していない。そこで煮干しでダシをとった。韓国では煮干しの出汁も料理に使われる。

そして、今回は調味料の配合を変えてみた。

・みりん
・酒
・唐辛子粉
・醤油

ここまでは基本。

さらに
・ナンプラー
・小池麹店 味噌玉自然派味噌

この「味噌玉自然派味噌」は、超お気に入り。まるでチーズのような香りとコクがある。これを純豆腐に入れたらどうだろうか?と前から思っていたのにトライしなかったことが悔やまれる。

そして、仕上がったスープを飲んで驚き🫢過去一、おいしいではないか!

これで「アオキのうどん」があったら最高だ。

なんなら明日から純豆腐店やろうかなと思ったくらい良い出来だった。と、この日も自画自賛で夕食を締め括った。

誰かのために作る料理は当然楽しいけれど、自分のタイミングで、自分が喜ぶ料理を作ることも幸せだと感じている。

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春月@ひとり暮らしのウツごはん
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