神様、「超えられる試練」なんて、いりません【2食目】

悩みじゃないんですよ、脳の病気なんです

あの頃、励まされるのは、とにかくツラかった。

ウツを悩みと勘違いする人は少なくなくて、スピ系や自己啓発本、挙句占いを薦められた。悩みではなくて脳の病気なのだと区別できる人は少ないと知った。

もう限界で頑張れないから「頑張って！」と応援しないで欲しい。大丈夫ではないから病気な訳で「大丈夫？」と尋ねないで欲しかった。出口を探せないから苦しんでいる訳だから励ますつもりの「大丈夫！」にも胸を射られた。

そうそう、病気をカミングアウトしたあと「そんな風に見えない」いわれるのも解せなかった。その人から普段の私が、どう見えたら納得してくれるのだろうか。

それまでは「前向き」「臨機応変」「何事にも無駄はない」が口癖だった。ドラマで耳にした〝神は超えられる試練しか与えない〟という言葉で自己を鼓舞してきたが、こうなってみると全くもって後ろ向き。「越えられようが越えられなかろうが試練なんていらない！」と腹が立った。自己否定と苛立ちが交互に訪れた。

あれほどイライラしたのは、以前仕事でご一緒した女優さんに「似合うと思って」と、小籠包と肉まんの絵が描かれた香港土産のLLサイズTシャツをいただいたとき以来だった。

そうしたストレスを未然に防ぐには、人から遠ざかるのが手っ取り早かった。ウツ休み前半の心模様を思い返すのは苦しいけれど気を使わないで済むし、進行形のストレスも溜まらない。

励ましが優しさなのは重々わかっていたけれど、それくらい余裕はなかった。微笑みを浮かべて「ありがとう」と1ミリも思ってもいない言葉を口に出したくなかった。

生命エネルギーが減れば減るほど言葉に敏感になり考えるのを止めるために眠り、できないことが増えていった。気づけば料理しかできないヒトになっていた。

大同電鍋を買うの巻

形から入るタイプだ。だから20代でスキーを始めようと決めた時、まだゲレンデに立っていないのにウェアはフェニックスで、板はアトミックにした。姿とやる気は一丁前。けれど、揃えてしまって自分を追い込むのは悪くない。

まずは、前から欲しかった台湾の大同電鍋を購入した。料理しかできないからこその投資だ。まっ、言い訳だけど。

こうして2023年10月、大同電鍋をお迎えした。Lサイズのアクアブルー。本当はピンクが欲しかったのだけど、あいにく日本仕様の商品ラインナップには見当たらなかったし

https://dennabe-official.tatung.co.jp/

この鍋に水を入れてスイッチを押すと「炊く、蒸す、煮込む、温める」料理が作れる。レトロなデザインと台湾らしいアナログさがツボだった。

炊飯器でご飯を保温するのが好きではない。もともと土鍋を超え、もっとおいしく炊ける鍋を愛用しているので炊飯器も持っていない。

それに久しぶりにひとり暮らしに戻った3年半前、キッチンのスペースの都合もあり電子レンジを買わなかった。それでご飯やオカズの温めには蒸し器を利用していたため、大同電鍋は実用的でワタシStyleには合っていた。

この日のワタシごはん　VOL.2  アサリとレタスの蒸しもの

早速、冷蔵庫と冷凍庫にあるものでクッキング。

記念すべき大同電鍋一作目

・アサリとレタスの蒸しもの
・ポテトサラダ
・豚汁
・栗ご飯

もちろん、すべて大同電鍋で調理。私にとって坐禅である料理だから、この時だけは無心になれ、病気だってことを忘れることができた。

鍋から湯気が上がるを見ているだけで心が温められた。

大同電鍋を買わなくても炊飯器があればご飯も炊けるしおかずも作れる。電子レンジでチンする料理よりもおいしくできるはず。

例えば上記の豚汁然り。うち鍋に材料と出汁パック、調味料を入れてスイッチを押せばいい。レシピ通りの材料を揃える必要はない。

材料を買う、切るが難しい状況ならお湯を注ぐだけのインスタントでも構わない。

ただ、温かいものを食べて心身を温めて欲しい。