2019年11月の外食web検索マーケット推移
1.Googleトレンド推移 ワード:居酒屋、イタリアン、焼肉、バル、寿司(2012/1/1~2019/11/30:東京都内:フード、ドリンク)
【上から新宿、渋谷、池袋、新橋】グラフ中の●は2018年11月
軒並みどのエリアも昨年と比較するとほぼ同程度の検索ボリュームとなっており、10月の落ち込みと比較すると回復しました。
ただ、「居酒屋」「イタリアン」といった複合的なニーズの入ったワードの減少傾向は変わらなさそうです。※「居酒屋」関しては、アルコール需要の低下により減っている面もあります。
減少の要因としてのワードの分散もありますが、検索方法の変化の影響が大きそうです。Google検索からSNS内検索への移行が、30代以下(特に女性)に増えて来ており、スマートフォンの普及もひと段落したこともあり、都心部ではGoogle検索のボリュームが頭打ちになりつつあります。
(新橋は、もともとの検索をしている層にその客層が少ないために減少幅が小さいです。)
2.Googleトレンド推移 ワード:居酒屋、ご飯、ランチ、カフェ、レストラン(2012/1/1~2019/11/30:東京都内:フード、ドリンク)
【上から新宿、渋谷、池袋、新橋】グラフ中の●は2018年11月
※1.と比較できるようにするために居酒屋を入れています。
新橋を除くとランチとカフェの検索ボリュームが大きい事が見て取れるかと思います。これは全国的な傾向です。しかしながら、都心部においては、居酒屋同様頭打ちになっており、ワード的に女性が検索する割合の多い事もあり、SNS検索等への移行が進んでいます。これまでのグルメ媒体外への露出の重要性が増してきています。
3.Googleトレンド推移 ワード:忘年会、宴会、パーティー、飲み放題、コース(2012/1/1~2019/11/30:東京都内:フード、ドリンク)
年末の忘年会関連のワードの推移です。(●がついているのは昨年11月)
「忘年会」のワードは10月は昨年と比較すると15%位落ちているところが多かったのですが、都内においては11月は昨年と同水準に戻ってきました。(日本全体でみると微減しています)
団体利用でお店を探す際に使われる「宴会」「パーティー」はずっと減少傾向、「飲み放題」も減少傾向ですがこの時期だけを見れば、ほぼ横ばいです。一方、比較的少人数グループで使われる「コース」のワードは順調に伸びてきています。
組人数の減少の影響もあり、検索ワードも徐々に団体系の物が減ってきており、以前のように12月の宴会で通常時の1.5倍売るといったような事が難しくなってきています。
恐らく、組人数の減少により大型の宴会に特化しているようなお店さんは予約が埋まりづらくなってきているor席稼働率がさがっている
4.媒体系TOPIC
ぐるなび、食べログの利用者数が減少。ホットペッパーは未発表の為不明。グルメ媒体ページが新規集客の位置づけから徐々に予約の為のランディングページへシフトしていきそうです。一方でGoogleマイビジネスやその他SNSへの流入は今後も増えていきそうです。
①ぐるなび(2020年3月期 第2四半期決算発表)
2020年3月期 第2四半期決算説明資料(中期事業方針)
10月末の業績発表は、期初予想よりも上回ってはいますが、売上は昨年対比で約10億円減、営業利益で約3億と下げ止まっている感じはないです。本来使うべき販促費を繰越していたり、提携をしている楽天も業績を落としており、宣伝に力を入れていない為に未だに楽天ポイントが使えることの認知が進んでいないです。楽天会員からの流入は増えているようですが、集客において爆発的に変化は生じていないです。
8月後半からスマホからのUIの変更を行い使いやすさは向上させていますが、今の所大きな成果は出ていないように見えます。ページに入らなくても店舗間の比較がしやすくなってことにより、店舗ページへのアクセスの必要が無くなっているので、恐らくアクセス数が減少している店舗が多いかと思います。一方で「エリア」×「業態」(例:新橋 居酒屋)のような検索も徐々に減ってきているので、店舗が一覧になっている広告ページへのアクセスも減ってきています。
②食べログ
2020年3月期 第1四半期決算説明資料 (価格コム内の食べログ部門の数値をご確認下さい。)
ぐるなびとは違い業績は売上は昨年対比で+9.1%と好調に伸びています。一方でその内訳をみると飲食店販促売上は昨年対比で+14.8%と店舗のプランアップと送客手数料の増加で伸ばしていますが、一方でユーザー会員売上は-19.3%と大幅に落ちています。最大約175万人いた会員が前回の発表時に約107万人、今回の発表では数値が発表されなかったことを見ると100万人を割るくらいになっているのではないかと思います。
広告売上も減少しており(第1四半期は昨対-9.7%)、飲食店販促売上以外は、減少傾向です。前期末の時点で今期の営業利益は昨年と同レベルか、少し下回るといった説明もしていましたので、想定通りかと思いますが、店舗側から見ると
・会員が減少 →今後の新規アクセスが増える見込みがない。(アクセス数減)
・掲載店舗数が増 →競合状況激化
・プランアップする店舗も増 →プランアップしないと表示されない(掲載費用が増える)
・ネット予約への移行が進んでいる →送客費用が増える
→『アクセス数増える見込みが少なく、コストだけが上がる構造に』
③ホットペッパー
スマホからの検索時に表示される広告ページの店舗のサムネイルの写真が変わっています。恐らく、他の媒体に対抗しスマホでの利用が増えている為UIの変更を行ってきています。表示されるサムネイルが商品3枚、内装2枚の構成に。
④google
・マイビジネス
(※下記グラフはマイビジネスへのアクセス数ではありませんが、上記グラフを見てもマイビジネスへの関心が増えていることが伺えます。)
全国的に9月くらいから、アクセスが急激に伸びてきています。徐々にマイビジネスの利用が浸透してきていることが伺えます。食べログ3.8問題もあり、食べログが信頼できないといった方が流れてきているといった事もあるかもしれません。
先日もSEO JAPANさんの調査データで『【調査データ】Googleマイビジネスで3.7以上の評価を得ると、コンバージョンが増加する』(詳細はリンク先を参照して下さい。)といったニュースが出ていましたが、こちらの得点やコメントの内容も気にしていく事が必要です。お店の特徴や売りがコメントに記載されているか?もチェックし、キチンとお店のコンセプトやサービス、商品の魅力が伝わっているかも見て店舗の改善に役立てていきましょう。
また、店舗の人でないとできないのは、コメントへの返信です。最近ではgoogleがコメント返信の有無とコメント返信までの期間を見ているといった話もありますので、対応は行っておいた方がいいでしょう。
アクセス数の伸びに対して、webページへの遷移や電話へのコンバージョンが高くないといった面もあり、この辺りはgoogleも問題意識を持っているようなのでページ内容の追加や使用変更をちょこちょこトライアルしています。状況を見ながら、これらの変更にも対応が必要となってきています。
・Google 検索
「BERT」と呼ぶ自然言語処理技術を検索システムに採用しました。
BERTとは「Bidirectional Encoder Representations from Transformers」(Transformerによる双方向のエンコード表現)の事で、昨年Googleが発表した自然言語処理モデルです。
現状ですと、コンピューターが理解しやすいように単語を区切って入力をしていると思いますが、昨今、浸透してきている音声検索では、通常の話し言葉やあいまいな表現(いい感じのカフェetc.)で入力することも多く、これまでの仕組みだと、うまく検索意図を汲み取れないという事が多々生じていましたがこれが大幅に改善されるとのことです。今回は英語での検索にのみ導入となっておりまして、日本語版で影響は、それほどないようですが英語版では検索結果に10%位影響があるとのことでした。
今後、テキストコンテンツの理解にも使われていくので、これまでのように特定ワードを意識してに入れていくといった手法でなく、真に内容の伴ったコンテンツページしていく事が重要になっていきます。
参考サイト:BERTとは何か?Googleが誇る最先端技術の仕組みを解説!
Google AI ブログ