2024年のGoogleトレンド推移から2025年の外食ワードの推移をAIで予測
2025年、全国主要都市の外食トレンド予測:居酒屋から寿司まで
日本の外食業界は、地域ごとに異なる発展を遂げています。例えば、東京のような都市部では多様性の高いダイニングカテゴリが求められる一方で、地方では地元の食文化を反映したメニューが主流となっています。このような地域別の外食トレンドを詳細に分析することで、経営戦略を強化し、地域ごとの需要に応えるための有益な情報を提供することが可能です。
2012年から収集したデータを基に、Googleトレンドを活用して地域別の分析を行い、2025年の外食業界の展望を予測しました。本記事では、その分析結果に基づいた地域別トレンドと予測値を紹介します。これにより、外食業界の経営者にとって、地域ごとの需要に応じたインサイトを提供することを目指しています。
1.全国の外食トレンド予測
ここでは、2024年のデータを基に全国の外食トレンドを分析し、それに基づいて2025年の外食業界の展望を考察します。
①【2012年1月~2024年12月エリア別Googleトレンド推移】
居酒屋(赤)がコロナ時に大幅に減少、2023年3月以降に一度回復しましたがコロナ前レベルまでは至らず、その後も減少傾向のエリアが多い。
焼肉(水色)はコロナ期間中もボリュームを伸ばしてきたが、コロナ明け後(2023年3月)頭打ちとなり減少し、直近は昨対では微減が続ていています。トレンド的には横ばいになりつつあるように見えます。
寿司(紫)はコロナ禍も焼肉同様にボリュームを増やしてきましたが、コロナ明け以降は、減少傾向が続いていましたが最近は横ばいになりつつあります。
イタリアン/フレンチ(オレンジ/緑)は検索ボリュームが居酒屋等に比べ小さいため変化の割合が見えずらいですが、コロナ前と比較すると減少していますが、比較的安定して推移しています。
日本フードサービスが発表しているデータを見ると外食全般のマーケットは昨対を上回っているといった結果が出ていますが、一方で検索ボリュームで見ると昨対を割っているという事が起きています。
恐らく検索を伴わない日常的なシーンでの利用は戻ってきているが、検索を伴うようなハレ・小ハレのシーンは減少しているという事が起きていそうです。比較的マーケットの安定している日常業態においては、大手の参入があり、価格とコストでの競走の激化、一方でのハレ・小ハレ業態においてはマーケット縮小の中で勝ち残るために、その利用シーンで選ばれるお店になれなければならないでしょう。
【検索ボリューム昨年対比】
エリアによっては後半昨対を越えてきている地域はありますが、まだほとんどのエリアが昨対を割っている状態が続いています。
業態ワードで言うと、居酒屋・焼肉は特に悪く、寿司もまだ微減傾向が続いています。
②【2012年1月~2025年12月エリア別Googleトレンド推移過去12カ月移動平均】
※2025年1月以降は過去のデータからのAIによる予測
AIの予測によるとエリアによってバラつきがありますが、居酒屋(赤)に関しては全国的に横ばいか減少傾向なところが多く今後大きな回復は見込めなさそうです。特に東京では大幅に落ちていきそうな予想で、今後より厳しくなっていきそうです。
減少傾向だった焼肉や寿司は少しずつ回復が見込めそうではあります。
-地域別詳細分析-
【東京】
2025年において、東京では以下のような傾向が予測されます:
焼肉: 検索ボリュームはさらに減少し、前年比で約10%の下落が見込まれます。
寿司: 安定した需要を維持し、前年比でわずか1%減少の予測。
居酒屋: 社会的変化の影響を受け、前年比で約12%の減少が予想されます。
【大阪】
大阪では、観光需要の影響が予測の中心となります:
焼肉: 前年比で約11%の減少が予測され、特に地元需要が低迷。
寿司: 観光需要に支えられ、前年比で約2%減少に留まる見込み。
居酒屋: 地元利用の減少が続き、前年比で約14%の減少が予測されます。
【広島】
広島では、地元の特産品を活用した需要回復がカギとなります:
焼肉: 前年比で約9%の減少が予測され、全国平均よりやや緩やかな減少。
寿司: わずかに減少し、前年比で約1%減少の見込み。
居酒屋: 地元需要が一定の水準を保つものの、前年比で約10%減少と予測されます。
【福岡】
福岡では、観光需要が全体の動向を左右します:
焼肉: 全国的な減少傾向を反映し、前年比で約8%減少が予想されます。
寿司: 比較的安定しており、前年比で約1%減少。
居酒屋: 回復の遅れが続き、前年比で約13%の減少が予測されます。
【沖縄】
沖縄では、観光需要の変動が重要な要素となります:
焼肉: 前年比で約10%の減少が予測され、観光需要の減少が影響。
寿司: 比較的安定しており、前年比で約2%減少と予測されます。
居酒屋: 観光客利用の減少が響き、前年比で約11%の減少が予測されます。
2.インバウンド英語検索ワードの推移
全国での検索ボリューム推移(※2025年1月以降はAIによる推測値)
コロナ明け後から順調にインバウンド需要の伸びと共に検索ボリュームも伸びてきていました。2015年も伸びては行きますが、これまでよりかは鈍化していきそうです。
一方でこれまでボリュームの小さかったワードが伸びてきており、旅行者の探している料理ジャンルの幅は広がって行っていそうです。これまで検索ボリュームのあまり大きくなかった料理もボリュームが増えていきそうです。日本らしい料理に関しては、今後も伸びる余地が大きそうなので、しっかりとそれらの情報発信をしていくことがポイントになりそうです。
3.今後の飲食店の生き残り戦略
日本人のマーケットは人口減少により、今後伸びていくことはないことを考えると下記のような戦略が考えられます。
(1) 日常業態の強化
大手参入への対応:
価格競争を避けた独自性の確立:
地元密着型のサービスや、限定メニューの導入で大手との差別化を図る。
例: 地域の旬の食材を使った季節限定メニュー。
コスト構造の見直し:
メニューの絞り込みや仕入れ方法の効率化で、コストを最適化しつつ利益率を維持。
テクノロジー活用での効率化:
モバイルオーダーやセルフレジの導入により、大手と同等の効率を実現し、人件費を抑制。
顧客体験の効率化とパーソナライズ:
AIやデータ分析の活用:
来店時間帯や顧客の好みを分析し、パーソナライズされたメニュー提案やプロモーションを展開。
テクノロジーの導入:
スタッフ負担を軽減しながら顧客満足度を向上させる仕組みを導入。
競争に打ち勝つためのローカル価値の創出:
地域性を強調:
地元の食材や料理を活用し、「この地域ならでは」の体験を提供。
コミュニティ密着型の施策:
地元住民向けの特典やイベント(例: 地域祭りへの参加、ローカルデー割引)。
新たな日常と非日常の融合:
「普段使いの非日常」を提案:
完全なハレ・小ハレではなく、「日常の延長で味わえるちょっとした贅沢」を提供する新しいセグメントの開拓。
例: 特別なスイーツを楽しめるカフェ併設のラーメン店や、高品質なワインを提供するカジュアル居酒屋。
(2) ハレ・小ハレ業態の差別化
体験価値の最大化:
独自性の追求:
特定のテーマや文化的要素を取り入れる(例: 和モダン空間、伝統的な調理法の実演)。
非価格競争へのシフト:
特別感を提供し、価格以外の価値で選ばれる店舗を目指す。
「記憶に残る店」作り:
SNS映えの意識:
インスタ映えする料理や内装で話題性を創出。
ストーリー性のある体験:
店舗やメニューに物語性を持たせる(例: 食材のルーツ、料理人のこだわり)。
ローカルブランドとのコラボ:
地域の工芸品や伝統文化とのコラボレーションを通じて独自性を強化。
例: 地元の陶器を使用した器や、地域特産品を生かした料理で差別化。
(3) インバウンド需要の取り込み
多言語対応とプロモーション強化:
事前認知を強化:
海外旅行者が訪日前に情報を得られるよう、SNSや旅行プラットフォームでの露出を増やす。
多言語予約システム:
言語の壁を超えたスムーズな予約体験を提供。
文化体験を重視:
観光客が求める「日本らしさ」を体験できる特別メニューやイベントを用意(例: 茶道の実演、寿司握り体験)。
インバウンド向け日常と非日常の融合:
外国人観光客が「普段使いできる日本らしい特別感」を体験できる業態を開発。
例: ランチ価格帯で楽しめる懐石風料理や、居酒屋での伝統的な日本文化紹介。
4.まとめ:未来の外食業界を見据えた戦略的アプローチ
2025年の外食業界は、日常業態の効率化と独自性の追求、特別感を提供するハレ・小ハレ業態の差別化、そしてインバウンド需要の取り込みが鍵となるでしょう。データ分析に基づいた予測から、以下のポイントが重要だと考えられます。
日常業態の強化では、地域性を生かしたサービスや効率化技術を導入し、大手との価格競争を回避しながら地元密着型の差別化を図ることが求められます。
ハレ・小ハレ業態の差別化では、独自性の追求とSNS映えする体験を提供し、顧客に「記憶に残る店」として選ばれる価値を提供する必要があります。
インバウンド需要の取り込みでは、文化体験を強調したプロモーションと多言語対応の予約システムで、訪日前後の顧客体験を充実させることが成功の鍵です。
これからの外食業界では、単に売上を追求するだけでなく、地域の価値や顧客体験を最大化する視点が重要です。外食トレンドの変化を見極め、適切な対応を積み重ねることで、持続的な成長と競争優位性を築いていきましょう。