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【ドラマ】マル秘の密子さんで考察する|遺贈
7月13日からスタートした、日テレ・土ドラ10「マル秘の密子さん」。
日テレのHPも確認して、ストーリーとしてUPされている範囲で書きますが、ネタバレしたくない人はここから先は読み進めないでくださいね。
介護士として働く夏(松雪泰子)は、半年前、火事の現場で倒れていた『九条開発』の社長・九条謙一(神保悟志)を助けたことから謙一に気に入られ、退院後のケアも担当していたが、付きっきりの介護もむなしく謙一は急逝してしまう。すると信じられないことに、謙一の遺言により、謙一が保有する『九条開発』の株式すべてを夏が譲り受けることになってしまった……!
ドラマで相続シーンがあるとついつい考えてしまうのがその根拠です。今回は「遺贈(いぞう)」シーンがあったので、遺贈について考えてみました。
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遺贈とは?
遺贈とは、遺言によって誰かに財産を無償で譲ることをいいます。相続と何が違うの?というと、
相続:民法で定められた人(法定相続人)が財産を譲り受けること
遺贈:相続人に限らず財産を譲り受けること
の違いがあります。つまり、誰であろうが、遺言で指定した人に財産をあげることができるのが「遺贈」ということですね。
もうひとつ、似たような方法で「死因贈与」というものもあります。「遺贈」は、いわば片想い。一方通行。遺言書の中で書いておくことなので、財産の受取人に指定された人も知らなかったということがありえます。
「死因贈与」は一応両想い。「(死んだら)あげるねー」「(死んだら)もらうねー」という合意で成立する契約です。その点が遺贈と違ってきます。
相続人に限らず財産を譲り受けること
遺贈:財産をあげる人が遺言の中に書いておく
死因贈与:財産をあげる人と貰う人が生前に契約しておく
細かく言うと他にもいろいろ違いがあるのですが、まぁ、大まかに言うとこんな感じです。誰かが亡くなって財産を受け継ぐ方法は3つということだけお知りおきください。
そして、遺贈に話を戻すのですが、遺言書で「財産あげるよー」と言われた人が寝耳に水で、「いや、いいです。お断りしますー!」ということはできるのかが今回のお話です。
2種類ある遺贈:「包括遺贈」「特定遺贈」
遺贈の種類は2種類あり、それによって手続きも変わってきます。
■包括遺贈
・「全財産をあげるね!」「遺産のうち2分の1をあげるね!」など財産内容を指定せずに行う遺贈。
■特定遺贈
・「コレあげるね!」と、財産を指定して行う遺贈。
遺贈は放棄できる?
では、この2種類の遺贈の違いを踏まえて、遺贈は放棄できるのか?ですが、結論として遺贈は放棄できます。
・遺贈は放棄できる。
・一度行った遺贈の承認及び放棄は、撤回することができない。※詐欺・脅迫による場合は例外あり(民法989条Ⅰ)
ただし、放棄の仕方はさきほどの遺贈の種類によって違ってきます。
■包括遺贈の放棄
・相続の開始があったことを知ったときから3カ月以内に家庭裁判所に申述(民法938条、915条)
■特定遺贈の放棄
・いつでも遺贈を放棄することができる(民法986条Ⅰ)
・放棄の方法は、遺言執行者や相続人に対する意思表示
今回の場合は、謙一が保有する『九条開発』の株式すべてですので、特定遺贈に当たると思われます。ということは…詳しくは放送回でご確認ください!
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