【散文詩】神話
雲の上を一隻の船がゆっくりと進む。やがて止まったかと思うと、白い衣を着た天使たちがふわふわと舞い降りてくる。天使たちは私を祈りへと誘う。
私と天使たちが祈っていると、晴れている空がより一層明るくなり、一陣の温かい風が吹いた。これは主の御声であると私は確信し、確信してすぐに熱くこみ上げてくるものがあり、私は涙せずにはいられなかった。清らかな、美しい涙であった。
空の上には一隻の船が停泊している。天使たちはやさしい笑みを浮かべると、空へ向かって浮遊し始めた。私は散りゆく桜を見るときのような気持ちになっていた。天使たちが全員船に戻ると、船はけたたましい汽笛を鳴らして、ゆっくりとフェードアウトするように消えていった。
(2024.5.12)