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悲歎の置き場

悲歎ひたんが、また私にぬるい酒を飲ませる。
ぬるい酒は、胃袋の中に拡がって、
鋭い酔いが、頭にかっと来る。
そうして私は集中して、悲歎の置き場の詩をつくる。

私には、こうすることしか出来なかった。
悲歎の原因を解決することは、
今はまだ、難しいことであった。

そうして毎晩、安くてぬるい酒のびんを手にとり、
それをグラスに注いで飲んだ。
ぬるい酒は、胃袋の中に拡がって、
鋭い酔いが、頭にかっと来る。

不器用な詩人━━私は、
集中して悲歎の置き場の詩をつくる。
今の私は、こうすることで精一杯だった。


(2024.9.20)

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