ある6月の雨の日に。
「あ、天才じゃないな」って気づいたのはいつの頃だろうか。
立ち寄った中目黒のTSUTAYAで、『天才を殺す凡人』という本を目にした時にふとそんなことが思い浮かんだ。
高校生の時の自分は将来、ひとかどの人物になるために一生懸命に受験勉強をしていた。
努力をすれば必ず希望の大学に入ることができ、希望の大学に入ればやりたい仕事に就くことができる。
やりたい仕事に就けることができれば、きっと成功の道を歩んでいける。
今思えば、あの頃は、ひとかどの人物になれると思って生きていた。
「努力を続けることができる者が天才である」
どこか見慣れたこのフレーズを胸に、努力を続け天才になろうと思っていた。
そして、そのまま大人になり、いつからか「天才じゃなかった」と気づいて生きている。
その本の帯にはこんなことが書かれていた。
「秀才は天才に憧憬と嫉妬心を持つが、天才は秀才にそもそも関心がない。
秀才は凡人を見下し、凡人は秀才を天才と勘違いしている」
天才じゃないどころか、まわりの人たちの優秀さに日々驚いて生きている。
「みんな本当に優秀だなぁ、みんな天才だなぁ」と。
ということで気づいてしまった。
「あ、凡人だ」
いい歳した成人男性が今さら気づくことではないのかもしれないけど、気づいてしまった。
ある6月の雨の日に。
中目黒のTSUTAYAで。
強烈な恥ずかしさを覚えながら。
自分と向き合うことにした、ある6月の雨の日。
凡人から秀才になるために、日々の努力してみようと思った。