第50回 清少納言は美人だった?
紫式部、清少納言、和泉式部の三大才女の内、和泉式部は美貌で妖艶。紫式部はまあまあ、清少納言は「うーん」とよくテレビ評論で言われています。
「まんが古典入門」でも清少納言は「髪は縮れ薄く、癖があって美人の条件をなしていなかった。顔は目はつりあがり、おでこ、下ぶくれ。服装は他人には厳しいが、自分は赤を好み、よくからかわれていた」とさんざんです。
しかし私は大学生の頃、東京にいて友人から「銀座のNo,1 ホステスって顔じゃないんだって」と聞きました。
確かに、政治家・文化人などが集まる高級クラブでは、様々な話題に機智ある返答をして会話を盛り上げなければなりません。幅広い教養と話術、それが要求されるのです。そういう意味では清少納言は「美人」だったでしょう。
よく「内面美人」とか「性格美人」とか今でも言います。
教養が内面からにじみ出れば美しく見えてきます。香子(紫式部)自身もそう思っていでしょうか?
空蟬や明石の君に「たいそう美人ではないが、どことなく品がある」と魅力的に書いているのはやはり自画像でしょうか?
ところで宮中に再出仕した香子には。倫子が配慮して3人の若い女房を身近に付けてくれました。
宰相の君ー道綱の娘だから、香子が尊敬する『蜻蛉日記』の作者の孫。
大納言の君ー倫子の姪で、ぶっくらとした美人。
そして小少将の君が同室として選ばれました。同じく倫子の姪で離婚歴があり、柳の枝の様にゆらゆらと頼りない感じー女三の宮のモデルとしました。
後に香子は彼女と同性愛の噂をたてられます。
香子は再出仕してから「一の字も知らない」と無知を装いました。「源氏の物語の作者」としての高慢なイメージを払拭するためです。
そして慣れてくる内に、ある嫌な女性を何とかしてやろうと思うようになりました。それは香子の嫂(あによめ)ー源典侍でした。