αグルコシダーゼ阻害薬って効くの?
2型糖尿病治療に用いられるαグルコシダーゼ阻害薬には、アカルボース、ボグリボース、ミグリトールなどがあります。実臨床でも比較的、使用頻度の高い薬剤ではないでしょうか。糖尿病の食後過血糖の改善を適応症にもつ薬剤群ですが、ボグリボース(正確にはOD錠0.2㎎のみ)は耐糖能異常における2型糖尿病の発症抑制にも適応を持つ薬剤です。
その作用機序は端的に言えば、小腸において二糖類から単糖への分解を担う二糖類水解酵素、つまりα-グルコシダーゼを阻害し、糖質の消化・吸収を遅延させることにより食後の過血糖を改善するというものです。特にアジア人ではその血糖降下作用が強いと言われています。これはおそらく日常的に摂取している食事に含まれる糖質(デンプン量)に関連しているものと思われます。
実際、アカルボースの血糖降下作用は、西洋食を摂取している患者よりも東洋食を摂取している2型糖尿病患者で優れており、スルホニルウレア、メトホルミン、およびグリニド薬のそれに類似しているという46研究メタ分析が報告されています。
(Clin Ther. 2013 Jun;35(6):880-99. PMID: 23602502)
αグルコシダーゼ阻害薬に関する臨床研究は、これまでに多数の報告がありますけれど、糖尿病発症リスクや心血管イベントなどの重要な臨床アウトカムを検討した研究の多くはアカルボースに関するものです。本稿ではアカルボースを中心にαグルコシダーゼ阻害薬の臨床的な実効性をまとめます。
[目次]
■2003年~2006年のエビデンスを整理する
■2009年~2015年のエビデンスを整理する
■最新の知見を踏まえて総括してみる
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