企業のブランド戦略に惑わされるな!? 鎮咳/去痰薬の有効性と実務上の対応
「コンタック」ブランドの新しい鎮咳薬、新コンタックせき止め液ダブルアタックが2024年8月1日より全国で販売されています。
鎮咳成分としてデキストロメトルファン、去痰成分としてグアイフェネシンを配合した同薬は、「有効成分を承認基準内における最大量配合」というコピーで差別化を図り、「咳中枢に直接作用」「たんの排泄を促す」といった作用機序の言語化で、効果的な薬効感のイメージを作りだしています。
また、「天然由来成分配合&シュガーフリーのはちみつレモン味で、飲みやすい」「眠りを妨げるカフェインは無配合。麻薬性鎮咳成分のコデインも無配合」といった、服薬のしやすさや安全性を強調することで、高付加価値をプロモーションしています(GSKコンシューマー・ヘルスケア)。
OTC医薬品に関するコンテンツを作り続ける中で感じることは、OTC医薬品の効果は「イメージ」による意味づけであり、その効果はキャッチコピーや作用機序の言語化によって作り出されている、つまりは、薬効感の多くはプラセボ的な効果に過ぎない側面が強いということです。
登録販売者においては、製薬企業が作り出したイメージに捕らわれることなく、薬剤効果を冷静に分析し、そのうえで自身の販売方針を決定することが肝要です。むろん、販売方針を顧客に適用する際において、登録販売者自身による商品イメージの再構築は、プラセボ効果を引き出すうえでも重要です。
製薬メーカーが作り出したイメージに惑わされることなく、冷静に商品を分析し、その分析を踏まえたうえで、顧客満足度を意識したイメージの再構築を行う……この一連のプロセスが、登録販売者にとって重要なスキルであるように思われ、このプロセスにおいて、EBMは極めて強力なツールになります。
今回の記事では、新コンタックせき止め液ダブルアタックの有効性について、咳嗽に対するデキストロメトルファン、および喀痰に対するグアイフェネシンのエビデンスを整理し、同薬に対する実務上のロジックを整理したいと思います。
咳嗽に対するデキストロメトルファンのエビデンス
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