ベンゾジアゼピン系薬剤はどれくらい飲んでると依存になってしまいますか?

 不眠症状は日常生活に大きな影響を与えるとても深刻な健康問題です。それゆえ、不眠症状の改善が期待できるベンゾジアゼピン系薬剤は処方頻度の高い薬の一つと言えるでしょう。しかし他方で、その潜在的なリスクが注目されるようになり、近年では不適切処方の代名詞のような存在になってしまいました。

 むろん、適切な使い方をすれば患者さんの生活を豊かなものにすることができる薬なのですが、一方で依存耐性の問題があることも事実です。しかしながら「どれくらい飲んでると依存症になってしまうのか?」という疑問に対する明確な情報は少ないように思います。今回はベンゾジアゼピン系薬剤の依存について、服薬説明に役立つエビデンスを紹介します。

ベンゾジアゼピン系薬剤の離脱症状とその特徴

 ベンゾジアゼピン系薬剤の依存リスクについて文献検索をしていると、関連する研究の多くは、転倒や骨折、認知症など同薬の潜在的なリスク、あるいはベンゾジアゼピン系薬剤の中止方法に関するものです。ベンゾジアゼピンは潜在的にリスクの高い薬であり「できればやめた方が良い」というコンセンサスは既に強固なものとなっています。それゆえ、依存リスクに関する知見を入手するには、かなり古い文献までさかのぼる必要があります。いくつか、参考となりそうな総説論文を要約します。

ここから先は

2,136字
この記事のみ ¥ 100

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?