寡婦になった瞬間
ある日突然知らない電話番号から、着信が残される。
日頃から知らない番号は出ないし、わからない時は検索するので、ネットで電話番号を調べてみる。
警察署の番号だ。
なんだろう?
落とし物かな?
なんか交通違反したっけ?
初めに浮かんだことはそんなこと。
夕方で、出先だったから家に帰って掛け直すと、担当部署に繋がれて、私の名前や住所を確認される。
まだこの時点で、落とし物か何かだと思っている。
質問が増えて、家族構成に及ぶ。
新しいタイプの詐欺か何かかと思い始める。
個人情報聞き出してるの?
それともどっかで漏れてるのかな?
あまりにも電話の目的がわからないので、一体なんの電話なのでしょうか?と尋ねる。
すると、またかけ直します、まだ詳しく話せることがありません、と言われる。
ん?
これはなに?
電話を切ってから、夫に電話するがつながらない。
嫌な予感がする。
夫が事故にあったのかもしれない。
(子供と一緒にいたので、心配すべき人は夫一択だった。)
電話を切る時、家にいるように言われたので、しばらく待つ。
またかかってくる。
同じ質問の繰り返し。
夫に何かあったのか、聞く。
実は倒れているところを発見されました、と告げられる。
この時点で理由は教えてもらえないが、主婦は寡婦になった。
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