ただの寡婦じゃない
警察からの電話があっても、しばらくのやりとりでは事故なのか、事件なのか、はっきりしたことは教えてもらえなかった。
最初の電話が17時頃。
20時頃、やっと、警察が、自宅に行くから家にいるように言われる。
どうやら、亡くなったらしいが、原因はわからない。
というより、まったく、なんにもわからない。
何が何だかわからない。
何かの間違いだと思う。
21時。
普通の車で、目立たないように警察の方が来て、写真で身元確認。
夫に間違いないが、まだ全然受け止められない。
事故?事件?
なんで、こんな姿に?
家宅捜索したいと言われていたので上がってもらう。
子供も不安そう。
子供の前だからしっかりしなくちゃ、と気合を入れる。
警察の人が、夫の使っていた部屋や仕事道具を調べる。
わずか5分ほどで、遺書が出てきた。
息が止まりそうになった。
子供の前だから、耐えたけれど、気絶しそうだった。
子供を抱きしめた。
ただの寡婦ではなく、自死遺族という肩書きも加わった。
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