忌引きじゃたりない
寡婦になった当時、仕事は週2回のパート勤めだった。
夫が仕事大好きだったので、私は時間の融通のきく主婦だった。
パートでも、公務員のような職場だったので、夫の忌引きは6日間も頂けた。
ありがたい。
しかしその6日間で出来たのは、びっくりして空を見上げることと、子供を気遣うこと、遠方の義父母を待って葬儀をどうするか決めることぐらいだった。
とにかく、手続きの連続。
その度に、電話口で「死亡したので解約したい」と言い、書類でも「死亡したため解約」と書く。
ああ、夫は死んでしまったんだな、と悲しく諦める時間が繰り返される。
保険の解約や、保険金の申請なんて、死亡理由もしっかり書く。
なんで私がこんなことしなくちゃならないの!と、腹が立つ。
そして、大量の手続きをしながら、ああこれは主婦の寡婦じゃ無いと大変だな、と感じた。
仕事しながら、忌引きがちょっともらえたくらいじゃとてもじゃないけど終わらない。
加えて遠方の義父母の意見も聞きたかったから、この手続きと並行して、仏壇とか墓石選んだ。
100万近くする買い物を、わずか数日で決める。
判断力も経験もない、弱った主婦が。
今振り返るとゾッとする。
もっとゆっくり考えればよかったと今なら思う。
でもその時は、そんなことに気付くことも出来なかった。
忌引きは短く、やることは山ほどあるのに、心も頭もついていかなかった。
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