仏壇なんか買ったことない
喪主の次は死後の家とも言える、仏壇をどうするか、だ。
買ったこと、ない。
さらに、仏壇のない家で育ったので、何から考えたら良いのか、まったくわからなかった。
まず仏壇を買うかどうか。そこからだ。
それによって、位牌も作るかどうか、作るなら大きさをどうするか、決まってくる。
夫は長男で、実家にも仏壇があった。
しかし実家は遠方だ。
それにより
①仏壇を新たに買う
②仏壇は買わずに、実家に位牌を置く
③仏壇は買わないが、現在の家で供養する
の3つの選択肢があった。
夫の実家は田舎、長男家庭。
私の自由にしても良い、とは言ってくれたが、③は雰囲気的に選べそうもなかった。
何かしらの、「形」がないと、供養できていないように思うようだった。
検討の結果、我が家は①とし、新たに仏壇を購入することにした。
喪主のあと、判断力も鈍っている中で、夫が遠くに祀られるくらいならそばにいてほしいという思いだけで購入を決めてしまった。
子供達からは、この先、友達が遊びに来るたびに仏壇(つまり父親の死)について聞かれるのは悲しい、との意見で、できるだけ家具に馴染んだ、現代風の仏壇にした。
初めての仏壇は、高かった。
死んで見えない人のためにこんなに大金を、、、と今なら思う。
でも、その日、その時はそれが一番いいと思ったのだ。
仏壇は、お悔やみに来てくれた人には、手を合わせる物があってちょうど良い。
しかし、私たち家族にとっては、そこに夫を感じることはなく、今となっては虚しい箱でしかない。
高い買い物だった。
仏壇、結局、全然愛着はわかない。
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