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マーケットを見る作家とお店の役割って。

※ここでいう作家というのは陶芸家や染色作家など当店で関わるような作家を指します。小説家などはよく知らないので含みません。

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これが売れるとか、こういうものはお客様が喜ぶとか
そういうことを敏感に感じてものを作れる人がいる。
なにを言っているのか…と普通は思われるかもしれない。
ものをつくるときというのは、
基本的にそういうことを考えるもので
なにも考えずに作るわけないじゃないかと。

そうなんですよ、そうなんです。
基本はそうなんですけどね。
作家でそれをやれる人というのは稀です。

作家というのはやはりものをつくるときに
「自己表現」をいれます。
自分はこう思う、これが好きなど。
それが個性になります。

それが多くのお客様に受け入れられれば人気作家になるし、
受け入れられなければわが道をゆくストイックな作家と表現され、
そういう作家は同じような作家に好かれます。
商売的には人気が出たほうがいいけど(お店としてもありがたいです)
作り続けていくうちにいつのまにか自己とは離れ、
お客様に望まれるままにつくっていくことが
ものづくりに真摯に向き合っているか?
自分がやりたかったことってなんだろう?
…というもやもやとした悩みが身をまとうことになります。

そんな重い空気が自分自身を包む中、
新作はかなりのハイペースで求められ
手を動かしながらも情報のインプットが必要になります。

なぜなら…わざわざいうことでもないですが、
インプットがアウトプット(作品)をつくるすべてだからです。
他の作家の展示会に出向いて刺激をうけたり、
美術館に行ったり、本を読んだり、図案を模写してみたり。
映画をみたり、音楽をきいたり、美しい景色をみたりすることで
新しい創作意欲がわいてくる作家もいるでしょう。
ありとあらゆるものを創作につなげていきます。

だけど、そこで「マーケット(お客様)」をみる作家は
実は少ないのではないかと思います。

以前はきっとお店がその役割をしていたのでしょう。
店頭に来られるお客様の話に耳を傾け、
それを要約、編集して作家に伝える。
作品作りは二人三脚…みたいな。

しかし、今やSNS時代。
作家がお客様と直接つながる時代です。
お客様の声は直接作家に届くし、実際に愛用している様子も
作家は見ることができます。
得意な作家はその情報を創作に役立て、お客様に喜ばれる
作品を作り続けます。

それは悪いことではありません。
作家もやりがいを感じられるし、お客様もうれしい。

でも、そういう作家にとってお店って…必要あるのかな?

さっき書いたように
そういう器用な作家が多くいるわけではありません。
でも、確実に小売の役割は縮小されていくだろうし、
今のままの小売店ってあと何年もつのかなと思います。

今の仕事が好きだし、作家たちとのつながりも
しあわせを感じます。
少しでも長く続けていけるように、危機感持ちつつ、
店舗拡大を機に楽しいことを考えていきます。

↓最近読んだ本。

そうそう。趣佳を始める前、
お店じゃなくてメディアを持ちたかったんですよね、わたし。
望むところじゃないか。
つくり手に負けてる場合じゃないやーい。


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