あいのいろ。
天気予報士が「北風がふきます」とテレビで言っていた。
寒いのか。
ストーブで、五目豆を鍋でクツクツと煮て、三杯目の洗濯物を干す。
しょうゆ出汁の匂いが家中に満ちて、
お正月の支度をする実家みたいで、
娘たちのいう「ばぁちゃん家の匂い」だ。
今ごろ
ストーブの前で、白湯に眼鏡を曇らせているだろうか、とあの静かな詩を綴る人を思う。
人は、様々な顔を持ち、それはまるで絵の具を掬って混ぜるように、同じようでその時々で違ってゆく。そして、潮の満ち干きのように、自然と共に揺らぐ。大きく小さく。
淡く、どこかあたたかな絵も、その人を映して。いつか誰かが「線があなたらしい」と言っていたのが過ぎり、線にらしさを、まさにその人の律儀さや、滑らかさや、ささやかさ、なんかを感じ、確かにと思う。
空をよく仰ぐようになり
コトコト煮詰めるのが好きになり
声が聞きたくなった。
ふわふわの御守りをにぎる。
届いた刷りたての本に、鼻を近づけて
綴られた一節に頬をつたう
涙の色は
藍の色
好きな色の話をしたい。
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