名残をちゃんと惜しむ。
平日の午後、仕事中に聴いていたラジオ番組が最終回を迎えました。メインパーソナリティの市川美絵さんの、朗らかで、同世代の働く女性の「武士感」が好きでした。
若新雄純さんは、木曜のパートナーとして毎週、本番中にポテトチップス食べたり、スマホいじりながらだったり、中学生男子みたいなスタイルでお仕事していました。
肩書きは、実業家でプロデューサーで慶應義塾大学特任准教授という大層な肩書き。
実際、頭のいい方で、視野の広いバランスのいい人なんだなと、発言や悩み相談への受け答えでも、切り口が新鮮であるものの、本質を得ているように感じて好きでした。
市川美絵さんが、若新雄純というやんちゃな弟に振り回されたり、諭したり、甘やかしたり、感心したりするやりとりも、毎週楽しみにしていました。
5年間。
そんな自由で賢く、やんちゃな彼は、最終回で、グズグズ泣いていました。
「なんで終わるんだよ」
大人なのにグズグズ。
「やだよ」
最後まで市川美絵さんは、グズグズする弟に
「出会えてよかったよ、あなたはめんどくさいけど、ホントになんなの!?この子、と何度思ったか分からないけど、それでも、どこかに可愛げがあって、愛される人です。あなたと出会えてよかった」
と語っていました。
市川さんの声が聴けなくなるのは寂しいな。
あの明るい笑い声が聴けなくなるのも。
若新さんとのやりとりも。
終わっていくもの、別れてしまう人、一区切りつくとき。
前を向いて、切り替えていくのは大切。
でも、
ちょっとくらい
グズグズしたっていいなと。
やだよ。離れたくないよ。
楽しかったもん。忘れないでね。
ずっとずっと覚えていてね。
そうやって、グズグズ泣いても。
ちゃんとお膝を抱えて、両手がふさがって。
ちゃんと喪失感をもって、悲しいなって、寂しいなって。
大人になったとしても、
その質感や重さや熱さや匂いや硬さは、
持ってみないと分からないもの。
楽しみにしてたラジオが終わってしまった。
桜があれよと満開になって、
散ろうとしている。
なんだよ。
なんでだよ。
聞き分けのいい、
わかったようなフリはやめにして、
ちゃんと惜しもう。
舞い散る花びらを追いかけて。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?