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「読書感想文」

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図書館で、あるいは本屋さんで出会った本たちとの時間をエッセイ風に。ジャンルはさまざま、その時の興味や関心に、素直に手に取り、呼応する自分の声を綴ります。
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記事一覧

【読書感想文】本心

「マチネの終わりに」の著者、平野啓一郎さんの長編小説です。 ヘッドセットを装着して、AR方…

藤本 柊
13時間前
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【読書感想文】 椿姫

デュマ・フィス著 永田千奈訳 光文社の古典新訳文庫です。 「高級娼婦」として生きるという…

藤本 柊
2か月前
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【読書感想文】虫眼とアニ眼

かのスタジオジブリの宮崎駿監督と、『バカの壁』の著者で解剖学者の養老孟司さんの対談集です…

藤本 柊
2か月前
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【読書感想文】夢に迷ってタクシーを呼んだ

Netflix映画「僕らはみんな大人になれなかった」の原作者、燃え殻さんのエッセイ集です。 ど…

藤本 柊
2か月前
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【読書感想文】わたしたちは、海

『明け方の若者たち』の著者、カツセマサヒコさんの小説集です。 海の街での、七つのストーリ…

藤本 柊
3か月前
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【読書感想文】ミルク・アンド・ハニー

553頁の長編、なんだかとっても濃かった…。 主人公の高遠奈津と私は、ほとんど同年代なのだけ…

藤本 柊
4か月前
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【読書感想文】力をぬいて

詩人、エッセイストの銀色夏生さんのエッセイ集です。 私が中学生のころ、友だちの間で銀色夏生さんの詩集が流行っていました。当時は変わった名前の人だ、くらいにしか思っていませんでしたが、詩集よりエッセイが好きだった私は、数年後、ふと「銀色ナイフ」というエッセイを買ったのです。 それから、彼女の考え方や、ものの捉え方などに惹かれ、表紙のカバーが擦り切れてしまうほど読んでいました。 そして先日、図書館で「ここだよ」とばかり目をひいた一冊。「力をぬいて」という本は、まさに今の私に

【読書感想文】ブルーマリッジ

「明け方の若者たち」の作者カツセマサヒコさんの三作目となる長編小説です。 カツセマサヒコ…

藤本 柊
7か月前
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【創作大賞感想文】おはよう、私

「子どもがいないと自由でいいね」というフレーズが、心に棘のようにささってしまった瑠璃は、…

藤本 柊
8か月前
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【読書感想文】川のある街

朝日新聞出版 江國香織 著 望子は小学生三年で、母と暮らしている。時々、離婚した父こんち…

藤本 柊
8か月前
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【読書感想文】ノルウェーの森 上下

                                  村上春樹  1987年講談社刊  うつぶせ…

藤本 柊
8か月前
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【読書感想文】螢・納屋を焼く・その他の短編

村上春樹さんの初期のころの短編集です。 夕方まで一緒にビリヤードをしていた友人が、その夜…

藤本 柊
1年前
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【読書感想文】黄色いマンション 黒い猫

なんてったってアイドルで、俳優で、舞台プロデューサーで、そして執筆のお仕事もする、キョン…

藤本 柊
9か月前
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【読書感想文】シェニール織とか黄肉のメロンとか

江國さんの描く女性だなぁ、と胸を踊らせながら読みました。 立場も考え方も性格も違う、「三人娘」のそれぞれの日常と、三人がお互いにそれぞれの「らしさ」を分かりあっているという心地よさ。そして、歳を重ねた(おそらく50代)彼女たちの、自由度がとても気楽だ。 結婚はもういいけれど、恋人は欲しいという発言が、いかにも、理枝だ。作家の民子と母の薫の家へ、家が見つかるまで居候させてほしいと、半ば強引に転がり込んできた理枝。カラフルでパワフルで、なんというか圧倒的な人だ。 かたや、民