Syrinx活動報告3月~卒業式にデバイスを提供~
皆様、こんにちはTeam Syrinxの竹内雅樹です。
3月も終わって新たな年度を迎えますね!私事ですが、東京大学工学系研究科電気系工学専攻の博士後期課程に進学することになりました。この4月からD1です。Syrinxを声を失った方々に届けられるように開発を進めていく所存でございます。引き続きよろしくお願い致します。
さて、3月に私たちには大きなイベントがありました、
あるお子様の卒業式です。
橋本鯨正君、12歳、生まれつき小児慢性肺疾患を患っています。
主な症状は、肺機能が悪く、体に二酸化炭素が溜まってしまいます。
現在は、呼吸器(睡眠時と学校では、常時使用。家ではお母様が呼吸状態を見ながらほぼ外しております)・酸素投与・気管切開・胃ろうからの注入です。
全国でも少ない呼吸器を使用してても動ける子です。
しかし、彼は声を出すことができません。気管切開をしている子供さんのほとんどが、自然と食道を使って声を出せますが、彼は肺が悪くできません。
いつか自分の声で話したい、と夢を持っていました。
そして今年度小学校6年生になり、卒業式でSyrinxを使って返事をしたい、ということで昨年の11月お問い合わせをいただきました。
最初お問い合わせいただいたときは正直不安でした。今まで喉頭摘出をされたご高齢の方を対象に開発していたデバイスだったので、小さいお子様に使用したことが無かったからです。
それでも僕たちをやる気にさせてくれたのは、鯨正君がくれた、このメッセージ映像でした。
「早く使ってみたい」
こう言ってもらえて大変嬉しかったです。そして彼のために私たちは開発をスタートしました。
彼はプロ野球の広島東洋カープのファンでした。そこで、広島カープのイメージカラーである赤と白のデバイスにしました。
さらに、バックル部分は取り外しのしやすいマグネットタイプにしました。
これを提供していただいたのが株式会社クロップオザキの大平さん、野崎さんです。
(写真右から大平さん、野崎さん)
デザインモックを鯨正君に提供した際、取り外しがしづらい、というフィードバックからすぐに以下のように簡単に着脱可能なバックルを提供していただきました!
大平さん、野崎さんには松山工業株式会社の鵜久森さんにつないでいただきました。本当に感謝申し上げます。鵜久森さんのnoteは以下からどうぞ!
そして、鯨正君はとても頑張ってくれました。従来型のELを使って言語聴覚士さんと練習をしたおかげで、Syrinxが届いたらすぐに声を出すことができていました!
そしてリハーサルです、返事ができています。
本番です。
鯨正君は自分の声で返事することができました!夢を果たせて本当に良かった!
鯨正君は喋れないため、他の子に比べてまだ言語発達能力が劣っています、そのため卒業式後もSyrinxを使用して、文章を読む練習をしているそうです!(以下は50音を読む練習中です)
鯨正君にプロトタイプを提供するということを通じて、たくさんの課題が見えてきました。まだSyrinxを必要としている方々はいるので、皆様のためにk改良を重ねて開発を頑張りたいと思います!
どうぞ宜しくお願い申し上げます。
Syrinxのウェブサイトは以下からどうぞ