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いつの間にかなくなっていた

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インフラ総合職(23)が、今までの人生で出会った男性たちの中でも忘れたくない人々と過ごした日々を独断と偏見の100%私目線で、そして少しの理想を込めた80%ノンフィクションのお話…
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恋のせいにして、君とどこまででも行こうか

恋のせいにして、君とどこまででも行こうか

 この先どうなったとしても、決して忘れないだろうなと思う人が君だ。例え違う誰かと結婚したとしても「若い頃全てを捨てて、一緒になろうとした人がいた」という思い出を抱えながら暮らしているだろう。もし一生独身の人生だったとしても、過去に私の全てを肯定してくれる人が一人いたという真実をたまに思い返したりしてあの頃の思い出を糧にしながら死ぬまで君を想っているんだと思う。若しくは、恋のせいにして、寂しがり屋の

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ショートケーキ

ショートケーキ

何だか安心していて、気持ちよくて、微かに目覚めて状況を察したけれど、もう少しこの快感を味わっていたかったから起きてないふりをしていた朝があった。ひどい二日酔いだったからかもしれないけれど、だとしてもあれほど気持ちの良かったやつは、はじめてだった。

当時の私は、入社1年目のなりたて営業マンで前泊として県隣のホテルに一緒に同行する上司と泊まった。もちろん部屋は別々。だったはずなのに起きたら一緒のベッ

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最強の失恋ソング、『猫/あいみょん』

最強の失恋ソング、『猫/あいみょん』

 一か月前、恋人と別れた

別れた次の日、成田空港のラウンジで飛行機を待ちながら
丁度夕方の時間にあいみょんの猫を初めて聴いた
初めてのタイミングがあまりにも今の状況と重なりすぎて
気を抜いたら涙が出そうになった、というより泣いた

飛行機から見える夕焼けを私は多分
一生忘れないのだろうな、と

心のシャッターというもので記憶しようと思ったけれど
人の記憶なんてたかが知れてるので、写真に残した

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説得力のない、確信

説得力のない、確信

ー生きるって選択肢を狭くしていくことだ

 ふらっと寄った本屋の入り口には大々的に、からだのかんけいに至った作家の新作が置かれていた。それまでだったら迷いもなく買っていたし、それまでの本は全て読んだし、その全ては本棚にある。なのに、その目の前にある、本屋に無数の場所に置かれている、新作の本を手に取って一行を読むまでにかなりの時間がかかった。

 たぶん、そこにはあんな期待やこんな期待を踏みにじられ

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三回目のデート

三回目のデート

このまま終わらないでほしい
いつか終わることをわかっているから
できるだけ長く見ていたい
枕元の明るい画面に映る時間を確認する
まだ時間はある、だからもう少し、、、

甘く幸せで生々しいくらいリアルなのに
架空の時間はものすごいスピードで
頭の中から溶けてなくなる

辺り一面、雪化粧した木々と降り積もった雪だけだ
そうかここは東北であったのか、と
まだ仲睦まじい瞼を片眼でこれが現実だったと認識する

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中途半端な名前

中途半端な名前

中途半端というなら有坂の名前もだ。シンジ。その先はなんだろう。シンジルか。シンジナイか。それともシンジタイか。そういうことを考えてしまうから私は有坂を信ちゃんと呼ぶ。

三浦しをん著『きみはポラリス』という
短編小説『夜にあふれるもの』の一節である

初めて読んだのは高校3年生、18歳だった気がする
その頃はこの小説の良さが分からずに
”面白くなかった本リスト”に入れていた

いつも常にまだ

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