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レポート⑥「ヨルダンと腐れ縁~KnK松永晴子が語る遺跡と日常と支援の現場~」
皆様こんにちは!
運営スタッフの仲原菜月です。
9月5日(土)に開催された「ヨルダンと腐れ縁~KnK松永晴子が語る遺跡と日常と支援の現場~」のイベントレポートをお届けいたします!
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①ヨルダンの日常と遺跡
松永さんは、シリアの木工細工に見られる寄木の技術・文化に惹かれ、
青年海外協力隊としてシリアで活動される予定でした。
しかしシリア国内からの要請が取り下げられ、ヨルダンにいくことになったそうです。
松永さんは、ヨルダンにあるパレスチナ難民キャンプ、
バカアキャンプで美術教員として活動されていました。
子ども達は、モザイクや寄木などに慣れ親しんでいるため、幾何学模様が本当に上手で綺麗でした!では、ヨルダンにはどんな芸術や文化が見られるのでしょうか?
こちらは、ヨルダンにある遺跡から発掘された彫像。
元々は北アレッポ(シリア北部の都市)の土着の神様の彫像です。
ヒジャブをかぶっていることから、女性の社会進出低いと思われがちですが、実際はどうなのでしょうか?
松永さん曰く、実は女子校の方が統制が取れていて、トップに立つ女性はとても手腕が良いそうです。
つい内向きな女性をイメージしてしまいますが、パワーのある女性が活躍していくこともできる社会なのですね!
協力隊の任期が終わり、もう一度中東で働き始めた松永さん。
職場の上司から言われたという言葉が非常に印象的でした。それは・・・
「手を差し伸べたら、腕を食われると思え」
これは、少し弱みを見せてしまえば全て完全に利用されるぞ、というような意味と言えるでしょうか。
日本との考え方の違いが見えてくるように感じられます。
休日に友人と訪れていたという遺跡の写真も、美しいものばかりでした。
シリア国境近くのアビラ
(シリアやヨルダンの周辺にわたる15個ほどの遺跡のうち10個がヨルダンにあります)
ローマン街道
(ヨルダンにも通っているとは知りませんでした!)
ドルメン(支石墓)
(丘にドルメンが20~30個もあります!)
こちらは観光地としても有名な、ペトラ遺跡。
ここで松永さんが注目されたのは、遺跡ではなくペトラで働くロバ!
暑いなかで重い人々を載せて働くロバに愛着が湧き、時にはロバの絵も
書いていらっしゃったそうです。
ザアタリ難民キャンプでも、ロバが活躍しています。
難民の方々は運転免許を取得できないため、荷物を運ぶ祭にはロバの力を借りているのです。
どの遺跡も壮大なつくりであると同時に、とても細やかな装飾も施されており、技術の高さが感じられました。また、芸術から文化の様子が読み取れることも興味深かったです!
②難民キャンプでの暮らし
キャンプの中でも、人々は店を開き、植物も育てています。コロナ禍でも子ども達は、お家で植物や家畜の鳥などのお世話をしているそうです。
普段の生活の中でも、家の壁を緑に塗っていたり、絵を描くときには背景を緑にすることも多いようです。
その理由は、砂漠。難民キャンプは砂漠に位置するため、雨季に入っても植物が生える気配はありません。
人々は、自然豊かな暮らしを恋しく思っているのですね。
子ども達は普段草をむしることもできず、学校で育てていた麦を抜いてしまい怒られてしまったのだとか…。
しかし2019年3月頃には、こうしたキャンプでの生活から離れ、シリアに戻る動きもあったそうです。
キャンプ内の学校では、子ども達主催のお別れ会が開催され、
みんなでケーキを食べて、カーテンを締めて踊ったり…
楽しそうな子ども達の様子が、自然と浮かんできました。
ただ、シリアに帰るという選択肢がある一方、新型コロナウイルス以前から、人々はキャンプにとどまることを選び始めているとのことです。
その背景には、第三国定住先が見つかりにくくなってきていることが挙げられます。結果、最近はキャンプ内の人数は増加しつつあるのが現状です。
しかし、やはりシリアに帰っても生活は厳しいのが現状。
仕事がないのに物価が高いという状況に悩んでいると聞き、
取り組むべき課題はまだ残されていることを痛感しました。
③人々と対話すること
KnK(国境なきこどもたち)にて勤務を始めた頃、松永さんは都市難民への支援を中心に活動されていました。その頃のお話が、とても心に残りました。
(写真:当時の活動地域の様子)
当時、子ども達から石を投げられることもあったと聞き、驚きました。
そして実は、同じような行為によるシリア人へのいじめがあることも、分かってきたそうです。
ヨルダンはもともと仕事が少なく、シリアから逃れてきた人をよく思わない親の影響で、子どもが石を投げてしまうことがあったようです。
それでも、戦争から逃げてきた人々が、逃げた先でも傷つけられるのはおかしいのではないか…と松永さんは考えます。
シリアの人とヨルダンの人がうまく共存していくという課題
そして、松永さんがヨルダンに溶け込んでいく過程
これらが似ていると感じていると伺い、現地で長く活動される松永さんだからこそ得られる視点だと感じました。
一方で、シリアの人々の強さや暖かさも学ばせていただきました。
多くの親族を紛争で失った女性は、死んだふりをして助かった家族のことをあっけらかんと笑って話したそうです。
そして家では、発泡スチロールでミントとイチゴを栽培し、生活の楽しみを見いだして暮らしています。
また、どの家庭でも、家族をとても大切にしています。
シリアの人々が母国を離れても懸命に生きていられるのは、家族がいるからではないかと、松永さんは話されていました。
松永さんは、家族の繋がりを大切にしている人々の生活が少しでも良くなることを願って活動されています。
松永さんのお話から、人と時間を過ごすこと、丁寧に対話をすることは、本当に大切なのだと感じました。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
シリアが皆さんにとって身近な国になっていましたら幸いです。
動画で見たい!という方は、下記からチケット購入していただければ
「見逃し配信」の視聴もできますので、是非ご検討くださいませ。
また、ゲストの松永晴子さんについて、下記のページにてご紹介させていただきました。ぜひこちらもご覧ください。
運営スタッフ 仲原菜月