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BRUTUSのSF特集、注目の本と映画

ふだんは本と映画の感想を書いている本note。

そのなかには分量的に記事にするには今ひとつだなと思うものがあり、発表を見送った記事が多々ある。

ですがヨイ映画、ヨイ本は拡散して、ウイルスのように他人を感染させたいと思うのが、オタクの有り様というもの。
なので今回まとめて、自分がいま注目している本と映画、そのほかの話題を一斉に放出したいと思います。


BRUTUS「夏は、SF特集」

雑誌BRUTUSによるSF特集。表紙は「ドラえもん」
なんの素材なのか名前がわかりませんが、ツルツルしたコーティングにナイロンのような凹凸がある手触りで、書店でちょっと触ってみてほしい作り。

中身はカジュアルに開かれた内容で、SF初心者に向けた現代SF入門という趣。
取り上げられている作品は、2010年代くらいの新しい、映画やドラマ、マンガが多めで、最近なにが流行っているのか知るのにうってつけな内容。

マンガとか知らない作品がちょこちょこあって、何作品かメモしました。

ケン・リュウの新作短編『氷霊』も掲載されていて、こちらも傑作でおすすめ。

小惑星の氷から空気を採取する仕事につく主人公が、AIの相棒とともに、採掘中、エイリアンの痕跡らしきものを発見するという話。
ちょっと思弁的な文明論をメインにしたSF。

SFマガジン8月号「クリストファー・プリースト追悼特集」

今月号。
プリーストは、クリストファー・ノーランによる映画『プレステージ』の原作者というと一番とおりがいいかもしれない。
今年の二月二日になくなり、SFマガジンでは初訳の短編『われ、腸卜師ちょうぼくし』が掲載。

第二次大戦前のイングランドの邸で、癌に冒された腫瘍をペレットに加工した肉を食べ、闇の世界から現れようとしている怪物を押し留める、“腸卜師”。その数奇な運命を描いた短編。

グロテスクで奇怪きわまりない短編ですが、想像力に圧倒されます。個人的には傑作の部類。

「最後にして最初の人類」文庫化された名作SF

発売は先月ですが、ようやく手元に入手。
『スターメイカー』に続くオラフ・ステープルドンの代表作の一つで、二十億年にわたる人類の興亡をえがく、破格のスケールをもつ30年代の古典。

2004年に出版された単行本は、プレミア化して価格が高騰していましたが、文庫化のうえに改訳、一気にてごろに。

ヨハン・ヨハンソンによって映画化もされており、映画は音楽が主役になって、イメージ映像とティルダ・スウィントンによるナレーションで構成されるという、変わった作品で、もちろん読書時のBGMはこれで決まりだろう。

アニメ化された「ルックバック」

先々週に見にいってきた話題のアニメ映画。
「ルックバック」の衝撃は忘れもしない、ジャンプ+での初読時。

「チェンソーマン第二部」の連載を心待ちにするなかで投下された読み切りで、正直ジャンプマンガの読み切りというのは、連載版の縮小スケールの作品であったり、小品の印象が拭えないものが多く、期待はあまりしていなかった。

しかしこの「ルックバック」である。
100pあまりのページ数に、映像的な演出と、同時代をえぐる感性。
あらゆる形態のクリエイターに衝撃を残していった。

押山監督にかかるプレッシャーは相当なものだっただろう。
原作のシーンを完全再現して、適宜補完。うるさいファンを沈黙させるレベルのクオリティだった。
しかしながら、原作が至高の存在であることに変わりなく、アニメは原作の優位を認めたうえで、原作の魅力を再認識、強化するような作品だと感じました。
「ルックバック」の思い出が何十倍かに増幅するような感じです。
あと個人的には京本が、訛ってるという解釈に膝を打った。

劇場ではネーム版の「ルックバック」を特典にしていて、微妙なセリフや設定の違いがあって、面白い。プロがどういうネームを切っているのか見れるのは貴重な資料でもあるので、漫画家志望にもおすすめ。

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