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2024年をルックバック、映画とともに

今年は後厄だった。前厄、本厄の3年間を切りぬけ、来年こそは光明を見いだせるように祈りたい。個人的にひどい年だったわけじゃないんだけどね。

一年のはじまりをよく憶えている。能登のことだ。
こたつでSFマガジンを読んでいた。間宮改衣の『ここはすべての夜明けまえ』が乗っているやつ。すこし暗い新年だった。


哀れなるものたち

ランティモスの映画で一番好き。今のところ。
アラスター・グレイの小説が原作で、マッドサイエンティストの老人が、入水自殺した妊婦のお腹から、赤ん坊を取り出して、まだ生きている赤ん坊の脳を死んだ母親の方に移植して蘇らせるという話。

セットや衣装がすばらしく、おとぎ話のような世界をうまく造形していた。
音楽も耳にのこる寂しいメロディで、総合的な完成度がとくに高い一作だった。

ランティモスは今年『憐れみの3章』という映画も公開している。
エマ・ストーン、ウィレム・デフォー、ジェシー・プレモンスが主演する1時間くらいの映画を3本やるという内容。なんじゃこりゃという奇怪な映画です。

デューン 砂の惑星 PART2

ヴィルヌーブ版デューンの続編。
IMAXで見れなかったのが残念。

ぼくはヴィルヌーヴ版のデューンを肯定的に見ていて、一作目が退屈だったという人が信じらない。
でもふり返ってみれば、原作を先に読んでいたぼくは、原作をどう映像化するのかという、アプローチの仕方そのものに対する興味があったのかもしれないと、いまは思う。

もうPART3も製作中で、原作では『砂漠の救世主』にあたる部分を映像にして完結するらしいです。
退屈だったというひとも、原作を読んでみると印象が変わると思いますよ。

REBEL MOON

ザック・スナイダーによるスペースオペラ。
ネットフリックス限定配信で、劇場ではやっていなかったように思う。
いま、ゴア表現を追加した完全版が追加で配信されているようですが、見ていない。全年齢版のみの感想になる。

ボンクラ度の高い映画で、ツッコミどころもあるが、楽しい一作。前後編で二作ある。完全版で大ボリュームが、さらに大ボリュームになったのかと思うと、胃もたれしそう。

内容は宇宙版『七人の侍』といったところ。

ヴェルクマイスター・ハーモニー

『ヴェルクマイスター・ハーモニー』は2000年に製作された映画で、日本での劇場公開は今年が初だったと思う。ハンガリーの巨匠、タル・ベーラの監督作です。

タル・ベーラは『サタン・タンゴ』という7時間ある悪魔的に長い映画で知られる監督。『サタン・タンゴ』も今年、がんばって見た映画の一つ。

マッドマックス:フュリオサ

マッドマックスシリーズはエイリアンシリーズなどと違い、全てジョージ・ミラー監督が手がける。

一作ごとにテイストが違って、ひとつとして同じ作品はない。
『フュリオサ』もまた、『怒りのデス・ロード』の達成を踏まえたうえで、前作を模倣するようなことはしない。それはみる前からわかっていたことだった。

『怒りのデス・ロード』でアクションのネタが切れただろうと思っていましたが、新たに空中戦なども取り入れて、さらにバリエーションを出してくるのがすごい。

若き日のフュリオサをアニャ・テイラー=ジョイが、ヴィランのディメンタスをクリス・ヘムズワースがそれぞれ演じる。

今年はまじで続編だらけだな。
良いことなのか悪ことなのかは知らん。面白ければそれでよし。

基本コンセプトは一作目と変わらず、さらにアイデアを拡張した続編という感じ。
これもすごく満足した一作だった。

このとき撮っているサムネの画像が、新しい本棚になっているので、このとき買い替えたっけと思い出す。天井まである突っ張れる本棚なので、壁一面が本なんですよ今。

安部公房の『箱男』を映像化する無謀。
純文学チックで渋い映画になるのかと思ったら、まさかのアクション娯楽映画だった。
原作にある文明批評の本質を見落とすことなく、おもしろい映画に仕上げていて、劇場で一番びっくりしたのは本作かも。

エイリアン:ロムルス

ちょっと辛いレビューになってしまったが、おもしろくて、よくできた映画には違いない『エイリアン:ロムルス』。

ケイリー・スピーニーがこのあとの『シビル・ウォー』にも主演していて、今年はケイリー・スピーニーの年でもあるなあ。見れてないんですが『プリシラ』も今年か! いやあすごい。

シビル・ウォー アメリカ最後の日

アレックス・ガーランドの新作。
アメリカ大統領選もリアルで進行し、結局トランプが当選しましたが、激烈な戦いで、本当に内戦になるのではないかと思ったり。

ガーランドは最近、『28日後…』の続編である『28年後…』の予告を公開していて、再びダニー・ボイルとタッグで復活するようだ。

さらにA24と『ウォーフェア』という映画も作っていて、これは『シビル・ウォー』で戦闘シーンを監修していた軍事アドバイザーのレイ・メンドーサが監督になり、ガーランドは脚本を提供している。

『シビル・ウォー』の戦闘シーンすごかったから、もうそこだけちょうだい!という映画なのかこれ。いいね。

ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ

賛否両論を巻き起こした映画。
前作のようなカタルシスのある展開はなく、ジョーカーとして崇拝されるアーサーと、心優しい青年だったアーサーの二つの人格の間で引き裂かれるという、内省的とも言える映画だった。

10年後とかに再評価されるんじゃないか、みたいな予想を立てている人がいて、ぼく自身も、今は評価に自信がない。
いろんな意味で、今年最大の注目作の一つだった。

グラディエーターⅡ

去年『ナポレオン』みたばっかなのに、もう新作をとっているリドスコ。
純粋な続編はリドスコ史上初。(『プロメテウス』『コヴェナント』はプリクエルだから)

この映画も劇場でみてすごく興奮した映画のひとつ。
今年ベスト級。

ドリーム・シナリオ

A24とアリ・アスターが製作、ニコラス・ケイジが主演した映画。
社会風刺的な側面があって、突然あらゆる人の夢のなかに、冴えない大学教授が現れて、その本人が大バズりするけど、夢の内容が不快なものになると、本人も炎上してリンチ対象になってしまうという話。

小粒の作品ではあるけど、A24とアリ・アスターというブランドにふさわしい感じの映画で、ファンにとっては面白いはず。


とまあ、記事にまとめたのはこれだけですが、他にも見た映画はあります。
サムネに使ったのに『ルックバック』の感想ねーじゃんとか、その通り。

配信で見た映画を合わせると、今年は約170本くらいの映画を見ました。
去年の11月くらいから、見た映画のメモを取るようになったので、今年はまる一年分の成果が記録できました。
なのに、これだけ見てもU-NEXTのマイリスがまったく消化できてないんですよ。増えていく一方なんだけど。

一年に300本くらい見れるかなー? と思ったけど、意外と見れなかった。
来年はじゃあ、300本映画を見るというのを目標にしようかな。多分すっごい大変だけど。

あと去年よりも映画の記事が少ないのは、レビューに限界があって、あんまり穿ったこと言えなかったというのが本当のところ。これは自分の鑑賞力の限界なのだと思う。
なので来年からは、映画史とか映画批評をたくさん読んで、鑑賞力そのものを鍛える方がよさそうだなとか、作戦を立てています。

まあそんなこんな一年でございました。
また来年もよいお年を。

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