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文章力がなくても「いい文章」は書けるんじゃないか

「ライターが足りない」という話をよく聞く。

先週も聞いたばっかりだ。どうやら、ウェブメディアにおいてライターという職業は全体的に人手不足らしい。
その割に「ウェブライターになりたい!」というひとも同じくらいよく見るような気がする。

じゃあなんでそこがマッチングしないんだろう。そこにはたぶん、「ライター」という仕事に対する認識の差が大きいような気がする。
なので、「基本のk」ではあるんだけど、求められるウェブライター像について、そしていい文章ってどんなものなのかな?ってことをちょこっと書いてみますよ。偏見丸出しの個人の意見ですが、もしよかったらどうぞ。

ライターという仕事について

ライターというと「文章を書く仕事」をイメージすると思うのです。「writer」という単語から想像すると、まぁそりゃそうだよね。
でも、それだけではダメなのです。

少なくとも、わたしが書いている媒体の多くでは、だいたいこのような仕事があります。

・ネタ出し
企画。こういう場所があるんだけどどうでしょう?こういうことをやりたいんですが、という提案。編集さんから「これで書いてください」と持ってきてくれる場合も。

・構成
企画からどのような記事にするかの骨組み作り。全体の流れを作る。
「行ってみたけどなにもありませんでした」は許されないので、下調べがたいせつ。編集サイドでネタ出しがある場合はここまでやってから持ってきてもらえる。

・アポ取り
取材対象に連絡し、アポイントを取る。編集さんがやってくれるメディアもあるし、自分でやる場合もある。だいたいの場合は自分。ここでミスるとネタがポシャるので必死。

・取材
実際に取材をする。編集さんが同行(カメラマン兼任)してくれる場合もあるけども、基本的にはひとりで行くことが多い。録音もする。たのしい。

・写真撮影
自分が映らない記事の場合、自分で撮影もする。技術のある友達に頼む場合もあるけど、その連絡(お願い)はもちろん自分でする必要がある。カメラマンさんを付けてくれる現場は貴重。

・書き起こし
取材先でのインタビューや同行者の感想を録音しておき、書き起こす。基本的には構成に合わせるけども、想定外のおもしろい話が録れた場合は採用する。

・写真選定
1取材あたり、だいたい100~300枚くらいは写真を撮ってます。使う写真を選ぶ。場合によっては加工もする。加工技術がほしい。

・執筆
書く。書く。書く。

・修正
初稿提出後の修正。無修正は基本的にありえない。無修正って書くとなんかえっちですね……
「こう直してください」と指示がある場合と「こう直しました」って編集さんが勝手に直してくれる場合がある。たまーにせめぎ合いが起こる。

・公開
とてもうれしい。

・告知
記事がリリースされたあとの告知。ツイートをしたり、ブログやnoteやFacebookで拡散をする。いいねやスキはうれしいし、リツイートや引用リツイートはもっとうれしい。はてなブックマークもめちゃめちゃうれしい。いちばんうれしいのは一言コメントを入れてのシェア。毎回とは言わないけど、読んでよかった!と思った際にはしてもらえると、すべてのライターはしあわせになります。大事なので太字にします。

こんな感じです。メディアや予算にもよるけど、けっこうやることが多いですよね。1記事あたり、だいたい半月~2ヶ月くらいはかかっています。

ウェブライターに求められるもの

長すぎたので次の段落にします。

つまり、メディア側としては「書く」だけの人材はべつにそこまでいらなくて、ネタ出しから拡散まで、ぜんぶできる人間が欲しいということですね。

人間ひとりが考えつくネタなんて、ひとにぎりの天才を除けばそんなにたくさんなくて。「そのメディアに沿った企画を考える」って言ったって、月に10個も20個も出ませんよね。でも、10人いればひとりあたり1つか2つで済む。これは大きいです。だからどこのメディアも「ライターが足りない」って言うわけです。

個人的には、ウェブライターに関しては「文字も書く企画職」なんじゃないかなぁと思っています。

わたしの場合は、自分の興味がある分野の媒体を複数仕事先にしています。もちろんメディアの更新停止やリストラへのリスクヘッジ、という一面もあるのですが、いちばんの理由は「ひとつのジャンルで戦えない」ということ。
趣味が広く浅くなので、たとえば「グルメライター」みたいな枠組みの中では生きていけないのです。それより「楽しそうなことならなんでも書きます」のほうがわたしには向いているはず。おいしいお店のネタを3つ考えるより、お店をひとつ、行きたい旅行先をひとつ、ヘンな道路をひとつ探すほうが、自分が楽なんですよね。

ただ、1ジャンル1メディア、という縛りは自分の中であります。この案件、どっちに持って行こうかな?って悩みは時間の無駄なので。このジャンルならこのメディアに持って行こう、という即断即決ができると、割くリソースがちょっとだけ減ります。

必要なのは、文章力じゃない。

「クラウドソーシングで仕事を頼んだら、とんでもない原稿が上がってきたので、さいきんそっちは止めてるんですよね」

先月、いくつかのメディア編集者さんにこんなことを言われました。
わたしはクラウドソーシングを使っていないのでわからないし、実際にクラウドソーシングを使ってたくさん仕事をしている、優秀なライターさんも何人も知っています。でも、一部にはそういうひとがいるのも事実のようです。

「とんでもない原稿」の内容まで見せてもらったわけではないのですが、たぶん「日本語がめちゃくちゃ」ってわけじゃないと思うんですよ。仮にもライターの仕事をしようってひとが。

そもそも、わたし自身の日本語がそんなにうまくないのです。文章力がないとは言わなくても、あるほうかって言われると……考えちゃう。

じゃあ、自分の強みってなにかって考えると、「発想力」と「好奇心」、「想像力」なわけです。「書く」に至る前の分野が得意なので、ライターができているところがある。文章も、うまくはないけど好奇心から生まれた「楽しい~!!」って気持ちが入っているので、おかげで読んでいただけている部分がある気がします。

もちろん、文章力はあるに越したことはありません。でも、表現がちがうとか、日本語の使いかたが間違ってるなんてものは、最終的に編集さんが見てくれるんですよ。
原稿に問題があった場合、むしろそれは「構成」に課題があることが多いような気がします。読者がどういう記事を求めているのか、それがわかっていないわけです。骨組みがガタガタだと、編集さんは一度解体作業から始めなきゃいけませんよね。そりゃあ「とんでもない原稿」と言いたくもなるでしょう。

たとえば無記名の仕事だったり、編集さんから頂いたネタで書く場合、どうしてもついつい他人事になりがちな気はします。どちらもえらそうに言えるほど受けてないけども……
そこをちょっぴり自分ごとにできると、「あのライターさんいいな」に繋がるかもしれません。

わたしなりの、文章のコツ

ウェブで記名記事を書く場合、ライターには文章力よりも発想力・視点・説得力が大事なんじゃないかなと思っています。それと拡散力もかな。

たとえば、お堅いウェブメディアでアイドルとか、つよつよのインフルエンサーみたいなひとがエッセイを書く場合があります。ああいうひとたちって、ライターじゃないですよね。でも、なんでそういうしっかりした文章が書けるかっていうと、この部分を備えているから。

自分のどういったところにどういう読者が興味を持っていて、どういう話を聞きたいのか。それを自分でわかっているから、日ごろ長い文章を書いていなくたって、いいエッセイが書けるわけです。エッセイと企画、ジャンルはちがっていても、ウェブライターはちょっとそれに似ているところがあるんじゃないでしょうか。

わたしはこの3つ中では、発想力にほぼほぼ全振りをして、想像力で足りない視点を補い、好奇心をスパイスにして記事を書いているわけです。説得力は全体的には足りないけど、たとえばグルメ記事だと、おいしそうな表情が説得力につながりますよね。

「文章がうまくなるためにはどうしたらいいだろう……」なんて、みんなついつい考えちゃうと思うのですが、文章力にそこまで自信のないウェブライターは、こんなことを考えていたりするのです。

こちらに参加するために書いたnoteです。

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