まだCPIで消耗してるの?
こんにちは。VRizeというスタートアップの3D ADという広告プラットフォームで、プロダクトマネージャーとセールスとメディアリクルーティングと運用とデータ分析とクリエイティブディレクターと雑用をやってるおじさんです。
アドテクのプラットフォームを運営している視点から、マーケターや代理店にはなかなか見えないディープなアプリマーケティングの世界を見ているので、これから少しずつその知見を共有していきます。
アプリマーケティング業界が隠してきたあまり知られたくない話も暴露しちゃいますが、主観的な話は極力せずにファクトや弊社で取得してきたデータを論拠にお伝えしていければと思います。
3D ADのクライアントは9割くらいがスマホゲームアプリ企業のため、思想が若干偏ってるかもしれませんがそこはご容赦ください。
正しく計測できてますか?
アプリマーケティングの基本中の基本で、大前提になるのが「正しく計測すること」です。
当たり前ですが、マーケティングの成果を最大化するためには正しく計測したデータをベースにPDCAを回す必要があります。
ただ、私自身国内外数百のクライアントさんと接してきて、正直、正しく計測できている会社はほとんどないです。
「詳しく知らない会社」「知っているが、見て見ぬふりをしている会社」「ざっくり感覚的に正しく計測しようと意識している会社」がほとんどです。
それくらい、正しく計測するということは難しいです。
アトリビューションの罠
広告の効果なんて、かかった費用をインストール数で割れば良いだけだし費用とインストール数なんて猿でも出せるじゃんと言われるとそのとおりなんですが、この「インストール数」って奴がなかなかの曲者です。
なぜなら、 インストールにカウントするかどうかの定義が、全媒体で全然違うんです。 言い換えると、アトリビューションの定義が各媒体で異なります。
例えるなら、100メートル走と1500メートル走とハードル走のタイムを比較しているようなものです。誇張ではなく、それくらいアトリビューション定義によって広告効果が変わるんです。でも広告主は普段ゴールラインだけを見てるので、走ってる最中の内容は見えないんです。だから各媒体が少しでも短い距離を走ろうと、見えない場所でスタート地点を変えたりフライングしたりしているのが現状です。
アトリビューション定義の違い
アトリビューション定義が各媒体で全然違うのに、CPIやROASで広告価値を評価するのって、おかしくないですか?
アトリビューションの条件には、以下のような違いがあります。
・ ViewThroughコンバージョンを計測するかどうか
・ ViewThroughコンバージョンを計測する場合
- 視聴秒数(1秒/2秒/5秒/10秒/視聴完了など)
- 視聴領域(1px表示/50%表示)
- ViewをViewとして計測するかクリックとして計測するか
・ アトリビューション期間(1時間〜最大約1ヶ月まで)
また、計測ツールによっても仕様が異なります。
今のアプリ界隈は90%以上AdjustかAppsFlyerを使っていますが、この2社だけでも、アトリビューションの優先順位やアトリビューション有効期間などが大きく異なります。
繰り返しになりますが、これらの条件の違いによって、見た目上の広告効果は数十倍変わります。
広告をクリックして1日以内のインストールのみ広告効果としてカウントする場合と、広告を見ただけで一週間後のインストールもカウントする場合、どちらが効果が良くなるのかは明白ですよね。
一般論として、アプリマーケティングで大事なのはクリエイティブ・配信先メディア・配信ロジックです。
でも実は一番広告効果が変わる変数がこのアトリビューション定義なんです。
というわけで次回は、大手プラットフォームのアトリビューション定義を解説していきます。
徐々に業界の闇に切り込みますので、興味のある方はフォローよろしくお願いします。
次回以降の目次。気が向いたらいろいろ書きます。
- 各業者のアトリビューションの話
- API連携媒体・URL発行媒体という差別とその仕組み
- S2S計測という目に見えない闇
- Cookieは規制されるのにどうしてIDFA/GAIDは許されてるの?
- ITPで得する人・損する人
- UAマーケの限界