業界激震!iOS14のアプリ広告最新事情
お久しぶりです。
iOS14がリリースされて、意外となんでもないじゃん!と思っている方も多いかと思いますが、実は舞台裏では日々業界大激震のニュースがアップデートされている今日この頃です。
今回は、直近で起こったけど話題になっていないニュースを幾つか時系列でピックアップしてご紹介しながら、この流れがどこに行き着くのかを考察します。
事件1. ClickIDが無くなる?😭
8月上旬の事件です。iOS14のリリースを前に、AppsFlyerがプライバシー強化のために媒体にClick IDを返さないという通知がありました。
Click IDを返さないと言っても何のことやらピンとこない方が多いとは思いますが、これはIDFAがなくなるのと同等かそれ以上の事件です。
現在、アドネットワークやDSPはClick IDをベースにどの広告からコンバージョンされたのかを特定しています。
Click IDがなくなると、どのユーザーがコンバージョンしたのかを追うことはできなくなります。DSPはこれまで「枠」から「人」レベルにターゲティングを細分化することで広告効果を改善してきましたが、これまでに積み上げてきた「人」レベルでの配信ロジックが今後は使えなくなります。
しかし、これはあまりにも広告業界への影響が大きく、各方面からの反発が大きかったため結局は広告主が許可した場合ClickIDを返すという仕様に変更になりました。
ただこの件については個人的にまだ着地していないと考えており、理由については後述します。
事件2. データ収集やアプリ横断でのデータ流用の厳格化
8月某日、Appleは突然PrivacyPolicyを変更しました。
https://developer.apple.com/jp/app-store/user-privacy-and-data-use/
これにより、デベロッパは収集するデータを前もってAppleに明示しなくてはならなくなるなどの影響が出ましたが、ここで最もヤバい変更は追跡をする場合はATT(IDFA取得許可のポップアップ)で許可を取る必要があるというところです。
追跡とは、自分のAppで収集したユーザーやデバイスに関するデータを、ターゲット広告や広告効果測定を目的として、他の会社のApp、Webサイト、またはオフラインのプロパティから収集したユーザーやデバイスに関するデータに紐付ける行為を指します。
これを文字通り解釈するとSKAdNetworkを含め全ての効果測定ができなくなります。さすがにSKAdNetoworkだけ許されて他が同等のプライバシー保護をしていても規制されるということはないと信じたいので、これに少し私なりの解釈を加えるとすると、Appleが推奨している「Differential Privacy」に準拠する必要があるということかと思います。つまり、複数のデータを紐付けて、「個人を特定すること」が規制されることになります。
SKAdNetworkも広告主のデータと広告配信先アプリのデータを紐付けて広告効果測定をしていますが、個人の特定はしていません。
また、Appleは広告に限らずSafariなどでもDifferential Privacyに準拠しています。
事件3. インセンティブ付与の禁止?
9月に更新されたAppStoreのレビューガイドラインに以下の記載がありました。
Apps should not require users to rate the app, review the app, watch videos, download other apps, tap on advertisements, enable tracking, or take other similar actions in order to access functionality, content, use the app, or receive monetary or other compensation, including but not limited to gift cards and codes.
ざっくり要約すると、「アプリのダウンロードやレビュー・動画を見せる・IDFAのオプトイン」などの行為に対してインセンティブを付与するなということです。もちろん動画リワードなどの広告もこれに該当します。
ADNW/DSP/SSP各社がこれはかなりヤバいんじゃないのかとザワザワしていたんですが、よくよく調べてみたら元々同じような規約が有り、微妙に改訂されただけみたいです。つまり元々リワードは規約違反のようです...🥺(ちなみにブースト広告など他にも実は規約違反というものは他にもあります。)
IDFAのオプトインを取るためにインセンティブを付与するかどうかも一時期議論されていましたが、この規約で明確に禁止しているのでやめておいた方が無難そうです。
ただ、元々この規約に抵触していた内容でも特にAppleからのお咎めがあったという噂は聞いたことがないので、実際には今後も問題にならず、高速道路における法定速度のような暗黙の了解になっていくのかもしれません。
事件4. フィンガープリントの死🤦♂️
元々噂はあったのですが、思っていたよりもだいぶ早く来ました。まだ日本語化もされていない情報ですが、事件2の英語版ドキュメントでFAQが更新され、フィンガープリントが名指しで禁止になりました。
https://developer.apple.com/app-store/user-privacy-and-data-use/
MMP各社は既にフィンガープリントは使わずProbabilistic(確率的)計測を行うと言っているのですが、技術的にはIPなどを使っているため、正直グレーなところです。。
また、「for the purpose of uniquely identifying it.」 この部分が肝で、前述のとおりAppleは常に個人を特定してはいけないというスタンスを取っています。Probabilistic計測の要素技術の一つにフィンガープリントで使われる情報は含まれますが、個人を特定しない範囲での利用は問題ないのではないかと思います。
最後に私見。以上の事件から今後起こりそうなこと👨💻
Click IDが無くなるという大事件は結局流れましたが、私はもう一度ひっくり返ってClick IDは廃止になると予想しています。なぜならClick IDを使うと個人が特定できてしまうからです。
今後MMPを使ってSKAdNetwork以外で広告効果計測を継続するためのシナリオは2つです。
(1) ブーストやリワードなどと同様に、規約上は限りなく黒に近いグレーと理解した上でそのままClick IDを使い続ける
(2) Differential Privacyに準拠し、Click IDを廃止する(AppsFlyerが当初打ち出した方針)
(1)は常にAppleの恐怖に怯えながら暮らすことになるので、(2)に移行するしか手段はないのではないかと思っています。。。
そうなると各ADNW/DSPの広告効果はもちろん低下し、全体のCPMが下がります。
広告業界のみならず、広告でマネタイズしているメディアを含め大きな影響を及ぼすので、今のうちに衝撃に備えておきましょう😇
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