16.好きな人と話したくても話せないもどかしさを覚えるのが中学校である
子育てにおいて、中学生になる子どもというのは一種の山場ではないかと思われる。例えば小学校まで何事も無く無事過ごすことが出来たという家庭が、子どもが中学校に入った途端に家庭内暴力、万引き、家出、妊娠など危険な行動が目立つようになってしまったということが数多くある。
これら原因については様々な問題が陰から絡んでいたりするのだが、今回は大雑把に子どもの思春期について考えてみたいと思う。
子どもの思春期とは。主に言われているのが性の目覚めである。例えば陰部から毛が生えてきたり、髪の毛が伸びてきていよいよお姉さんっぽくなってきたり、乳房の膨らみ、男性器の成長、背が伸びる、声変わり、肩幅、筋肉の発達、体臭、乳首の膨らみ、脇毛、髭、生理などとにかく男っぽくなったり女っぽくなるのが思春期の特徴である。
そしてこれらは何も身体的発達だけの話ではない。これまで気が付かなかったことに目が向けられるようになり、男の子女の子共に恥ずかしい気持ちがこれまでより芽生えてくる。この変化に子どもは戸惑うのだ。
筆者が体験した話である。筆者は小学校の頃からクラスの友人と遊ぶことが大好きで中学校に入ってからも小学校からの友人に対して積極的に話しかけていた。しかし、この頃から友人の様子や態度は変化していき筆者も変わり始めたのである。
ある日いつも通り友人に話しかけに行くのだが友人がどこか自身のことを煙たく感じている。話しかけても何かと素っ気ない返事ばっかりが返ってくる。そのことにイライラし始めた筆者は家に帰って母親から話しかけられても素っ気ない返事、「別に親から話しかけられても何も嬉しく無いんだよ!!」と思うようになっていった。そしてクラスの付き合いもこれまでよりはっきりとし始め「この人はあの人、僕はいつもこの人と」「どうして話したいとも思わない人と話さなくちゃならないんだ...」と思いながらまるでカテゴライズされるかのように校内で話す人が決まっていったのである。
また、クラスの男子と女子の関係もはっきりするのがこの頃の特徴でもある。女子に話しかける男子など殆ど見られなくなり、もし女子に話しかけている所を友人にでも見られると簡単に「お前、アイツのこと好きなの?」もしくは母親を連れて映画にでも見に行こうとしたら偶然友人に見つけられてしまい「お前母ちゃんと一緒に映画観に行ってただろう!」とからかわれ、場合によっては仲間外れのきっかけになってしまうこともある。女子もこれまで男子のことを深く意識していなかったのだが、いざ話しかけようと思うと少し抵抗感が出て身構え緊張してしまう。お互いに相手のことをを意識し始めるのが思春期の主な心の変化なのである。
この時、親の方で「思春期なのね。」と子どもを放っておいてしまうと子どもとの関係は切れてしまう。「自分が辛い時、親は何もしてくれなかった。」と親に対する不信感が湧き上がり、ある日親からちょっとした注意を受けただけで爆発。親を殴ったり最悪の場合殺してしまうなんてこともある。かと言って子どもに積極的に話そうとしても逆効果なのは間違いない。つまり親としては「君には何も言わないけど、君が今辛い思いをしているのはちゃんと知ってるし、見ているよ。」という態度を子どもにしっかり示すことになるだろう。
この何も言わずに子どもに親の気持ちを示すというのはかなり難しいかと思われる。例えば子どもが中学校の友人と一緒に万引きを犯したと学校から知らされた場合、子どもに対して何も言わないでいると(お父さんお母さんは一体何考えているの?)(僕が万引きしても、何とも思わないのか?僕のことなんかどうでもいいのか?)と子どもの行動がますます悪化する、ということさえある。どの方法が正解というのは無いのだが、親の100%の気持ちをどうにかして子どもに伝えなければならなければならないのだ。
ある家庭だとこのような子どもが抱える悩みに直面した時「思春期になる子どもの悩みに対し、親も子どもと同じくらい悩み付き合っていかねばならないのだ、と思った。」と話したそうだ。この子どもと同じくらい悩む、ということがおそらく鍵ではないだろうか?例えば「そんなことあったよ。」なんて親が話したところで「そんなこと」程度で片付けられたら子どもは堪ったものではない。子どもは憤慨、家族も家も破壊して当然である。
ここには思春期の悩みについて解決する方法は書かれてはいないが、「思春期になるとこうしたことがあるよ。」とある程度知っておくことで何かと対応策が生まれてくるのではないかと思われる。筆者からは何も言うことは無い。あとはその対応策を実際に使ってみるだけである。