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『「問いかけ」からすべてはじまる』野村克也著書の読書感想

たった一つの「なぜ」が人生を大きく変える


リーダーが問うことで人材も組織も伸びていく

皆さんはプロ野球を見たことがあるでしょうか。
おそらく、「見たことがない」という人は、あまり居ないのではないでしようか。それほどまで、プロ野球というのは、日本人の生活に密着してきました。
そうした、プロ野球の発展や認知に貢献してきた人物は、長嶋茂雄をはじめとする多くの人がいますが、この人を忘れてはいけません。
故 野村克也 元監督です。
この方は、「野村再生工場」と呼ばれるほどの育成技術を、プロ野球界に数多く残した方です。つまり、どこでも育成不可能だった選手を、一軍で使えるだけの選手に育て上げていたのです。

考えてみれば、プロ野球程人材育成を求められる世界も、そんなに多くありません。
監督になったら、その前監督から引き継いだ選手を、育成プランに乗っ取って育て上げていきながら、新しい選手を獲得して、さらには日々の試合を勝つことを求められます。

これほどまで、外から見るだけで、素人でもわかりやすい組織をつくりあげていく世界は、他には存在しないのではないでしょうか。
もし存在していても、ほとんどそれは稀なことであり、育成プランが失敗すると一気に何年も低迷を続けることになる世界は、そこら辺には存在しません。

そんな厳しい環境下において、結果を残し続け、育成の何たるかを書かれたこの本は、現代の社会でも十分に通用するものであるといえる気がします。

「なぜか」と自問することで人は成長し、「なぜか」とリーダーが問うことで人材も組織も伸びていきます。
潜在能力を開花させる「問いかけ」の事実を明かしてみます。

「質問力」が人材と組織の能力を引き出す

人と組織が成長するために、何が一番必要だろうか?
私がそう問われたなら、迷うことなくそれは「問いかける力」だと答える。

野村克也

これは長年、プロ野球の監督として人材育成の現場に携わり、自分もプレイヤーとして能力開発に懸命に取り組んできた私の確信だ。
人の成長、組織力の向上は「なぜ?」と問いかけることが原点となって始動するのだ。

深い質問と浅い質問のちがい

だからといって、「質問すればいい」というものではないのです。
その「質問の深さ」が問題なのです。

「深さ」というのは、イコール「問題意識」です。
問題意識の高まっていない人の質問は、とにかくやり方を「聞く」という方法を取りがちです。
やってみてから考えるのではなく、やる前から聞くのです。
なんでもやってみてから考えることが「質問の深さ」をつくるのです。
そのため野村さんは、「聞く前にまずやってみなさい」と選手に諭したそうです。

原理原則を問うて問題意識を喚起する

どんな仕事であれ、壁にぶつかっている時には
「そもそもこの仕事とはなにか?」
といった本質に、壁を越えるヒントというのが隠れている場合があります。

人は、長年それに取り組んでいると、「そもそも」の視点が抜け落ち、それが抜け落ちていることにさえ気がつかないものだ。
だからこそ改めて、指導者が「そこ」を問う理由があるのです。

不器用であることを知った人間は強い

不器用型の人間が大きく成長していくためには、自分自身が不器用人間であることをまず知らなければなりません。

己を知らず、自分は小器用にできると思っているうちは、どうしても取り組みが中途半端になってしまいます。

不器用な人間であると認めることは辛いことかもしれません。
しかし、不器用は、それ自体を武器とすれば、器用な人間、天才型の人間にも最後には必ず勝つことができることを知ってほしいのです。

それが、素質や才能に恵まれた人間に、凡人が勝つための唯一の方法なのです。

「人生とは何か?」という人生観から仕事観は生まれる

仕事では様々な壁にぶつかり、くじけそうになることもあるでしょう。
そのようなとき、自分はどのように仕事に取り組んでいくのか、といった考えを持っていないと、その壁を乗り越えていくために厳しい努力を重ねていくことはできません。

そして、仕事観というのは結局、
「どのように自分を生きていくのか」
といった人生観から生まれるものです。
だからまずは、「どうやって生きていくのか」を考えてみましょう。
自分なりに、どのように生きるのかを整理することは、とても大切なことだと私は考えています。

「君にとっての生きがいある人生とはどういうものなのか?」

「充実感を持って、悔いなく人生の最期を迎えるためには、どうすればいいのか?」

そのように、選手たちに問いかけています。

まとめ

私は天才に憧れることが多くあります。
とくに、小説を書いてるとき、文才に優れた作家を疎ましく感じることが多くありますが、そのようなときには、この野村克也さんの言葉を胸に、これからは邁進していきたいと思いました。

「不器用であることを自覚し、素質や才能に恵まれた人間に、凡人として勝つための唯一の方法」を愚直に取り組みたいと思いました。

生きたい人生を、生きるために。

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尾崎コスモス/小説家新人賞を目指して執筆中
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