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「光る君へ」第一話の冒頭1分を語りたい!

平安時代が好きすぎて、ワンカットずつ映像を止めてまじまじ見ちゃう私が、私なりの楽しかったポイント、メモなどをつらつら書くノート。
参考文献は最後の方に記載します。

開始30秒あたり:紫微垣と天蓬の星

安倍晴明の「紫微垣(しびえん)の天蓬(てんほう)の星がいつになく強い光を放っている」という台詞から始まる第一話。

カッコいい感じのセリフだけどなんのこっちゃい!ということで、調べて私なりの現代語訳にしてみました。こんな感じです。
「帝のおわす都を示す場所に、不吉を意味する星がなんか強く光っている。」(キリッ)

かっこいい...。

紫微垣とは、古代中国天文学において、天球上を3区画に分けた三垣(さんえん)の中垣のことですが、「紫微」とは天帝を意味することから、同時に天子・宮廷などに例えられるとのこと。

(なお、内裏の紫宸殿の紫もこの紫微に由来しているそうです。「宸」は帝王の住まいを意味します。)

天蓬の星は北斗七星の第1星のこと。ネットで検索すると、奇門遁甲という中国の占術の一つにおいて、凶の象意があるようです。
おそらくこれを踏まえて、あの冒頭の台詞が書かれたのでしょう。

その証に、お付きの人が「それは、都に凶事が起きるということですか?」と聞き返しているわけです。

ちなみに、大河ドラマ「光る君へ」の公式サイトの用語集をみると、紫微垣も天蓬の星もなんかこう…天文学的な説明で留めているので、それだけ見ても、はてな?という感じです。
みんな各自調べて楽しもうね、というスタンスなのかな。
平安時代好きにとっては、それはそれでありだと思ってます。

安倍晴明について

ここで、この後も大活躍(というか暗躍?)する安倍晴明についてちょっと述べておこうと思います。

大河ドラマの977年当時は56歳。
当時陰陽寮にて、陰陽少属(おんようのしょうさかん)と天文博士を兼任する下級官人でした。

「寮」というのは役所を意味します。
陰陽寮は、天文・気象・暦・時刻・卜占を担当する大事な役所の一つなのです。占いも政治の一環です。

役職については、以下をなんとなく頭に入れておくと、これからのドラマがより楽しくなると思います。
※色々と例外があったり役所によって違いがあったりするので、全てに当てはまるわけではありません!
なんとなーくの偉さレベルを感じ取る際には便利です。

=============
〜の別当(べっとう)
=その部署のTOP、もしくは実務をしない名誉職的なTOP。
〜の頭(かみ)、〜の大夫(だいふ)=その部署のTOP。
〜すけ(色々な漢字が充てられます)=その部署の次官。
〜のじょう、じん(これも漢字が様々)=その部署の三番手。
〜のさかん(これも漢字が様々)=その部署の四番手。
=============

安倍晴明の「陰陽少属」とは、陰陽寮の四番手で、しかも陰陽大属というのもあったので、四番手の中でも下です。
天文博士を兼任していましたが、こちらとて位は正七位下になります。
当時はコネと出自がものを言う世界。
実力はあったけれど、それと官位は違うということでしょう。

陰陽寮組織図
倉田実『ビジュアルワイド 平安大辞典 図解でわかる「源氏物語」の世界』をベースに作成

開始1分あたり:大内裏と陰陽寮

安倍晴明の「雨だ。大雨だ。」という台詞の後、ぐわーっとカメラが引いて、京都全体を映すわけですが、このぐわーっと引くところを注意してみると、ちゃんと大内裏(だいだいり)の中の陰陽寮があったあたりに安倍晴明がいたことがわかります!
これは感動!

大内裏というのは都の北にあった、今で言う官庁街。
いろんな寮(役所)が立ち並んでいて、その中の一角が内裏(=天皇のいるところ)になります。
陰陽寮は内裏の下、中務省の隣にあります。
ぜひ安倍晴明たちがどこにいたか、大河ドラマの映像をスロー再生しつつ見てみてほしい!

大内裏図 『広辞苑 第七版』より

この後のまひろの家についてはまた次回…。

《参考文献》
倉田実『ビジュアルワイド 平安大辞典 図解でわかる「源氏物語」の世界』
承香院『あたらしい平安文化の教科書』
倉本一宏『平安京の下級官人』
NHK大河ドラマ「光る君へ」公式HP
https://www.nhk.jp/p/hikarukimie/ts/1YM111N6KW/

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