【植物と短歌】ザクロ
大学構内にザクロの木があり、その実が熟すのを心待ちにしている。
ザクロの花が咲くのは夏、実が熟すのは秋、ゆえに「花石榴」は夏の季語、「実石榴」は秋の季語である。
ザクロと言えば咢が特徴的だ。
タコさんウィンナーのような見た目をしている。
実際にこんな歌もある。
しかしタコさんウィンナーが登場したのは地球の長い歴史で見ればとても最近のことだ。
ではタコさんウィンナー登場以前、ザクロはどのように詠まれていたのだろうか。
ザクロの登場する歌を探してみた。
まずは和歌から。
七十一番職人歌合とは、室町時代の職人を題材とした歌合である。
上記の歌はそのうち「鏡磨(かがみとぎ)」に載っている。
ザクロの外種皮にはクエン酸やリンゴ酸が含まれており、当時主流であった銅製の鏡を研ぐのに使われていたらしい。
ちなみに江戸時代の銭湯の湯舟の入り口を「柘榴口」と言ったそうだが、これはこの鏡磨からきているとのことだ。
(入口から中に入るには体をかがめる必要がある→屈みいる→鏡要る(鋳る))
面白い言葉遊びだ。
ザクロの登場する和歌は一首しか見つけられなかったのだが、それは果実を詠んだものであった。
次にザクロの登場する近代・現代短歌を登場する。
花、実両方の歌が見つかった。
最近千種創一の「砂丘律」を読んだのだが、ザクロの歌が複数登場することが印象的に残った。
世界有用植物辞典を引いてみたところ、
とあった。
「砂丘律」の著者である千種創一は大学時代アラビア語を専攻しており、現在中東在住だ。
とても腑に落ちた。
短歌から地域の特性などを読み取れるのは非常に面白い。
最後に、今回紹介させていただいた歌の掲載されている歌集などのリンクを以下に貼っておく。
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