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【植物と短歌】数珠玉は幼い頃の思い出?
今年初めて存在を知った植物、ジュズダマ。
最初名前を聞いたとき植物だとは思わなかった。
ちなみにジュズダマの食用品種がハトムギ。こちらは聞き馴染みのある人が多いだろう。
東南アジア原産の大型の草本. その光沢のある実で数珠をつくるから数珠玉の名がある.
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光沢のある「実」と書かれているが正確には実ではなく、苞鞘と呼ばれる器官だ。実はその中にある。
苞鞘の中の不稔雌花を引っこ抜くと糸を通せるような貫通した穴が開くので、それを利用して数珠などを作ることができる。
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だが数珠の材料として使われたのは昔の話で、今では子どもの遊びに使われるくらいだ。
だからジュズダマを見ると懐かしさを覚えるという人もいるだろう。
それは歌からも読み取ることができる。
数珠玉の実をとりきたりをさなくてわがせしごとく子も遊びをり
またジュズダマは水辺に生育する植物なのだが、その生育環境も歌に反映されていた。川などの言葉とともに詠まれている。
月読の面に近くさらめくは青数珠玉の秋風のこゑ(*1)
飛鳥川の川原朝より晴れ渡り数珠玉の円実白く光れる
ジュズダマの穂をひきぬけばひとすじの風で河原と空がつながる
私が今回見つけることができたジュズダマの歌はこれくらい。少ない。
私自身がそうであるように、今の若い世代にとってはもうあまり身近な植物ではなさそうだ。
せっかくなので私もジュズダマでアクセサリーを作ってみた。
自分で穴をあける必要がないのでとても簡単だった。
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またお茶が作れるとのことだったので、前回のキンモクセイに引き続き挑戦してみた。
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ほんのりポップコーンみたいな味がした。
はじめは正直あまり美味しくないと思ったが、喉越しがすっきりしていてだんだん美味しい気がしてきた。
機会があればまた作りたい。
*1) 近代短歌データベースで検索したところ、北原白秋のジュズダマを詠んだ歌が三首ヒットしたが、ベースは同じ歌のようだったので一番新しい歌を引用した。
他二首は以下。
・月読の光のもとにさらめくは青数珠玉の秋風のこゑ
・月読の光に近くさらめくは青数珠玉の秋風の声