曽根美雪がいかに可愛いか
『君と彼女と彼女の恋。』(通称:ととの。)というゲームが好きです。
推しだとか二次元の彼女だとか彼氏だとか俺の嫁だとか、そういった言葉で好きなキャラクターのことを表現することは昔から多くのオタクが行ってきたわけですが、私は「推し」までは思っても、所謂ガチ恋をしたことはありません。夢小説等の文化には大変疎いです。
そんな中で「このキャラクターは私の彼女だな」と思う数少ないキャラクターは、前述したゲームの1キャラクター曽根美雪です。
(『ドキドキ文芸部!』のモニカも該当するのですが本記事では曽根美雪についてのみ語ります)
理由は単純でして。
このゲームの性質上、登場ヒロインはプレイヤーの彼女になるのだと絶対に決まっているからです。
私は本作品のゲーム性も相まって、曽根美雪というキャラクターが大好きです。
この記事では彼女の魅力について語りますが、当たり前のように超ネタバレをするので、今後プレイ予定の方はご注意ください。
君と彼女と彼女の恋。について
ここから先はプレイ済みの方、もしくはゲームのギミックやストーリーを何かしらの形でご存じの方が読んでいらっしゃることを前提としてガンガン内容に触れていきますが、ご存じではない方が読んでいる可能性も考え、簡単にゲームの概要を記載します。
あらすじ
ざっくり言えばこんな感じ。
ここだけ見るとよくある三角関係青春ものに見えます。
実際、序盤は皆で屋上でご飯を食べたり、アオイと猫を拾ったり、美雪と一緒に下校したり、ほのぼのとした学校生活を送ることになります。
しかし、随所にはさまれる意味深な台詞、アオイの奇妙な行動、美雪への違和感。全体的に漂う薄暗くじっとりとした空気感。
それらの真相はゲームを周回プレイすることで判明します。
一周目・二周目
【一周目】
本作、一周目は必ず美雪ルートになります。
3人の関係性が描かれた後はごく一般的な学園生活が待っており、アオイとの出会いをきっかけに疎遠になっていた美雪と徐々に打ち解けやがて結ばれる物語は王道且つ平和。
違和感と言えばアオイの所謂「電波」な言動くらいで、特に何事もなく美雪と愛を誓い終了しました。
【二周目】
続いて二周目、こちらはアオイルートとなります。
一周目以上にアオイと会話する機会があり、彼女の電波発言に触れる機会も当然増えます。
「カミサマと、通信しているの」
「アオイ、バグったの」
「デンパがとどかないと、アップデートもできないの」
「セカイのルールなの」
「バグだらけのアオイ、すきに、なってくれる?」
表記ゆれはありますがこんな感じ。
普通に考えればこれらの発言は典型的電波系キャラのそれなのですが、実は彼女の言っていることは全てただの真実です。
二周目の美雪は、心一とアオイを応援しているようにも見えます(あくまで心一視点ではそう見えているだけなのですが)。
途中、美雪は主人公に対して「何があっても永遠の愛を誓うか」「何回生まれ変わっても同じ人を好きになるか、運命の人と結ばれるのか」を問われ、肯定します。
その後もアオイとの恋愛イベントが続き、アオイのパーソナルな部分も徐々に明かされていき、やがて肉体関係を持つことになります。
(因みにアオイとのプレイは全体的に若干人を選ぶ感じのアレなのでこの辺まあまあご注意くださいって感じです)
【二周目・終盤】
心一とアオイが肉体関係を持った直後のこと。
ベッドの下から、ある人物が出てきました。
その人物というのが、美雪。
彼女は彼らが体を重ね始めるその前から、ずっとベッドの下に潜んでいたのでした。
泣きはらした目で、感情が抜け落ちたような表情のまま、理性を失った彼女はバッドを振り下ろし、その場にいた全員を撲殺しました。
どうして突然こんなことになったのか?
実は、美雪にとってこれは「突然」なことではありません。
「私との愛の誓いを破った裏切り者だもの。当然でしょう?」
意識が混濁する中どうにか話をしようとするも、話が嚙み合わず混乱する心一。
しかし、美雪が話しかけている相手は心一ではありませんでした。
彼女は画面いっぱいに顔を近づけ、こう言います。
「君に、言ってるんだよ」
美雪が永遠の愛を誓うか問いを投げかけた相手は、その行動にショックを覚えた相手は、裏切者だと言った相手は、心一ではなく画面の向こうのプレイヤーだったのです。
このシーンかなり有名なので、その後に続く「どうせデータをロードし直して、またやり直せばいいとか、思ってるんでしょう?」の台詞も含めて見たことがある方は多いかと思います。
そしてゲームは強制終了し、三週目がスタートします。
【三周目以降】
ここから、美雪に永遠のゲーム内に閉じ込められるメタルートに入ります。
毎日同じ時間内で、美雪との愛を育む日々を強制的に繰り返すことになります。
屋上で美雪の好きな食べ物や苦手な食べ物を聞いたり。
付き合い方に関する価値観について話し合ったり。
デートしたり。
プレゼントをしたり。
体を重ねたり。
因みにセーブ機能も使用不可となります。
開くと「もうこんなこと必要ないわよ」的なことをボイス付きで言われます。
私は普通に超びっくりして「噓でしょ……」と絶望の声が出ました。
あと「攻略サイトが無駄だってこと知ってる?」とも言われますね。
正直しばらくこのループを抜け出す方法が分からなくて成人向けゲームの醍醐味であるはずのえっちなシーンをずっと連打しながら見ていました。だって怖かったんだもん。
【ラスト】
美雪によるループから脱出し、このゲームの掌握権を美雪から奪い返す過程を経て(ここの流れがめちゃくちゃ面白い)、最終的に主人公──プレイヤーは、美雪とアオイどちらを選ぶのか、選択する必要に迫られます。
このゲームをクリアするためにはそれが必要なのです。
「登場ヒロインはプレイヤーの彼女になるのだと絶対に決まっている」と冒頭で書いた理由はここにあります。
私は美雪を選択しました。
アオイも勿論魅力的だったのですが(私電波系美少女も好きなので)、ゲームを通じてアオイに抱いた感情は「戦友」や「相棒」といったもので、愛を誓う相手として選べと言われた時に手を取りたくなったのは美雪でした。
その後、私はアオイに再会していません。
このゲームの周回プレイは、美雪にもアオイにも不誠実なことだと思ったから。
アオイとの日々が徐々に朧気になっていることを感じますが、それが既にこのゲームに対する姿勢として間違っていないのだと信じながら余韻に浸っています。
本音を言えば、恋人同士としては不可能でも、アオイとも友達や仲間としてずっと一緒に居たかった。
それはプレイヤーの我が儘でしかないのがこのゲームだし、きっと現実世界でもそういうことはあるんだろうな……。
選択をしろと言われたら、嫌でも選択をしなければならない瞬間があるんだ。
曽根美雪が可愛い!
そういうわけで私の彼女は曽根美雪なのですが、もうこの子がめっちゃ可愛い。
相当クセがあるので好みが分かれるヒロインだとは思うのですが誰が何と言おうと美雪は最高です。好きでしかない。ああなんて可愛いの。
美雪の可愛いポイントについて以下語っていきます。ここから本題。
とにかく一途
自分がゲーム内の登場人物だと自覚があるからと言ってしまえばそれはそうなんですけど、それにしたって凄く一途。
だって自分を裏切ったら周りの人間全員撲殺してしまうくらい愛が重いんですよ。こんなレベルの好意向けてくる二次元美少女なんて、可愛くて仕方が無くなるってもんです。
私は元々ヤンデレ系のキャラクターが好きなのですが、その理由のひとつに何かに対して純粋で一途な傾向があるからっていうのがあるんですよね(そうじゃなくても狂気性が好きだから結局好きになりがちなのですが)。
笑顔が素敵
日常生活でふとした時に見せる笑顔も、照れを隠しきれず上がった口角も、花束を抱えて来た時の笑顔も、返り血を浴びながら見せる理性を失った狂気的な笑顔も全て魅力にあふれています。
個人的な趣味で、ちょっと異常性のあるキャラクターというか、性格に問題のあるキャラクターが好きになりがちですし、そこに笑顔が素敵という要素が加わるとなお良し! って感じなので美雪はとても好みの女の子です。
因みに声もとっても可愛いです!
美雪ひとりひとりに個性がある
決め手となったのはこの点かもしれません。
本ゲームに登場する美雪とのランダムイベントでは、彼女の好きな食べ物や苦手な食べ物、スポーツの趣味やカップルとしての付き合い方の理想などを聞くことが出来ますが、美雪のループを抜け出すにはこれらを覚えている必要があります。ランダムに発生する質問に連続で正解する必要があるのです。
ですがこのパーソナル情報、どうやら3の30乗通り(だったかな?)あるらしく、プレイヤーによって目の前の美雪の趣味が全く異なります。
単純に考えると、「この世に二人と同じ曽根美雪は存在しない」という事になります。
いやそんなん最高じゃないですか。
因みに私の彼女である美雪はショートケーキや月見だいふくが好きでイチゴの香りが好きで、豚の角煮やテニスが苦手、人前で手を繋ぐのは嫌……って感じの子です。他にも色々聞きたり一緒に色々なことをやったりして関係を育みましたが割愛。えっちな内容にも触れてくるので……。
(当時のメモをずっと残してあるので覚えています)
目の前で私が観測した彼女は、私というプレイヤーだけの美雪なんですよ。
そんな彼女がヤンデレとかもう最高以外に言葉が出て来ない。
今回の記事で何回言った?
このクセが強すぎるゲームを通じて
本ゲームはかの有名な『ドキドキ文芸部!』にも影響を与えたということでご存じの方も多い事かと思います。
インターネット上で一部の画像が有名になったりもしたのでその方面から知った方もきっと沢山いらっしゃるでしょうし。
正直、かなり人を選ぶ作品だとは思います。
肌に合わない人にはとことん合わないでしょう。
ですので、誰にでもとにかく面白いからやってみて! とはお勧めしにくい作品ですが、それでもやっぱり少しでも気になった方はご自身でプレイしてみていただきたいです。
特にドキドキ文芸部!を楽しめた方には。
美雪のループを抜け出すために試行錯誤するターンは素直にゲームをプレイしてる感があって楽しいですし、アオイとの関係性や別れ方にも熱くなるものがあります。
何より「あなただけの曽根美雪」と生活してみて欲しい!
攻略法が全く分からなかった永遠のループ中は「すみません美雪さん謝るんで許してください……」って気持ちになって美雪と愛を育むどころじゃなかったのですが、クリア後の、良いゲームをプレイ出来たなという感覚はかなりのものでした。
もう二度とプレイ出来ない、したいと思うことが出来ない傑作です。